
グレーのブランケットを脇においた高市早苗首相
9月22日(日本時間23日)、米ニューヨークの国連本部で、高市早苗首相とトランプ米大統領が、およそ35分間の首脳会談をおこなった。
「24日に予定されている米中首脳会談を前に、対中認識をすり合わせ、中東情勢、関税合意に基づく5500億ドル(約85兆円)の対米投資、北朝鮮による拉致問題などを話し合ったようです」(政治担当記者)
会談後、首相官邸の公式Xに《両首脳による冒頭発言要旨(速報版、仮訳)》が投稿された。
それを読むと、高市首相はトランプ大統領を「ドナルド」とファーストネームで呼びかけたが、一方のトランプ大統領は「サナエ」ではなく「総理大臣」「彼女」と呼んでいた。この微妙な“距離感”が、永田町に「トランプ大統領は高市首相が嫌い?」との憶測を呼ぶことになってしまったという。
「サナエ」と呼ばなかった理由や会談内容について、アメリカ現代政治に詳しい上智大学の前嶋和弘教授に聞いた。
「トランプ大統領は高市首相に対して、悪い印象は持っていないと思います。3月に訪米した高市首相は、ホワイトハウスでトランプ大統領と首脳会談をおこないましたが、そのとき『世界中に平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけだ』と発言しました。後日、トランプ大統領はイラン関連の問題で、日本のメディア取材を受けた際に『君たちのファースト・フィメール・リーダー(初の女性首相)は私のファンなんだ』と、笑顔で語ったそうです」
ではなぜ、トランプ大統領は「サナエ」と呼ばなかったのか。前嶋教授は「高市首相の名前を覚えていなかったからでしょう」と、衝撃の見方を示した。
「というのも、アメリカ人は母音(ア・イ・ウ・エ・オに相当)が3つ以上ある外国人の名前を発音することがとても苦手です。『シンゾー』までは何とか覚えても、『サナエ』は難しかったのかと思います。まして『タカイチ』は無理。そうしたことから、トランプ大統領の頭のなかに、高市首相のフルネームが入っていなかった可能性があり、『プライムミニスター(総理大臣)』『彼女』という呼び方になったと思われます」
また、ファーストネームで呼ぶことが親しさの象徴とすることについて、「トランプ大統領の感覚は違う」とも指摘する。
「日本の首相とアメリカの大統領がファーストネームで呼び合うのは、ロナルド・レーガン氏と中曽根康弘氏の『ロン・ヤス』が始まりですが、トランプ大統領と高市首相はそこまで仲がいいわけではないので、(ファーストネームで呼び合うのは)無理があります。また、『お前より俺のほうが上だ』と思うことが多いトランプ大統領は、『ドナルド』と呼ばれることが好きではないようです。
2016年のアメリカ大統領選で、民主党のヒラリー・クリントン氏が、わざと『ドナルド』と呼んだことがありますが、トランプ氏はとても嫌な顔をしていました。高市首相も『ミスター・プレジデント』と呼びかけたほうがよかったですね」
「ドナルド」呼びは、まさかの逆効果だったというのだ。また、前嶋氏は「(ネイティブの)英語がわからないのは仕方ないですが、アドリブができず、会見場に“ぎこちなさ”が漂いました」という。
会談で高市首相は、記者に質問されることを警戒したのか、トランプ大統領がジョークを言って雰囲気を和ませていたところ「そろそろ会談を始めましょう」と切り出したという。
「お互いのコミュニケーションが取れていなかったようですが、発言があまりに唐突だったので、アメリカ側も少し驚いたようです」
今回の会談を「高市首相に悪い印象はないが、それほど仲がいいわけではない、ということがわかった会談でした」と振り返った前嶋教授。国益にかなう会談となったのだろうか。
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