
林泰輔県議(写真・共同通信)
9月24日、自民党県議団の林泰輔県議が記者団の取材に応じ、炎上を目的に匿名のアカウント(裏垢)を作成し、攻撃的な投稿をしていたことを認めた。林県議は、福岡県議会の金銭授受疑惑を告発した吉松源昭(もとあき)県議に対して投稿していたほか、県議会の一連の問題に言及する投稿に対しても、攻撃を繰り返していたという。地元記者が経緯を語る。
「林県議は『みみず屋さん』(現在は削除)というアカウントで投稿をしていました。裏金問題について投稿したアカウントに対してリプライを繰り返す間に、以前から使っていた本名のアカウントから投稿してしまったことで、疑惑が生じました。当初は否定していたんですが、リプライした内容に明らかな連続性があったので、言い逃れができなくなったようです。言い方は悪いですが、非常に間の抜けた話です」
会見で林県議は、「この1点をもって辞職するのは、選んでいただいた地域の方々に対して責任を取ったとは言えない」と述べ、辞職は否定した。もっとも、林県議は当選1回、前回は、選挙区にほかの候補者がいなかったため、無投票だった。つまり、林県議の言う「選んでいただいた」というのとはやや違う。
また“裏垢”を使った動機については、「(SNSでの)戦い方として、少し挑発をして燃やすかたちじゃないと発信力が足りないと思った」と明かした。記者からの、立場を隠して世論工作をする目的だったのではないかという問いには、これを認めた。
県議会では、9月定例会で制定を目指す政治倫理条例の素案で、県議がネット上の投稿などで他人を中傷しないことを「政治倫理基準」に規定していたという。林県議は「真摯に受け止める」と述べた一方、「この件以外で、議員としてふさわしくない行動を取ってきたとは思っていない」とも強弁している。しかし、すでに自民党県議団のなかでは、林県議と距離を取り始める議員がほとんどだという。
「林県議は“県議会のドン”と呼ばれた蔵内勇夫前県議会議長の元秘書です。吉松県議が8月の県議会臨時会で、蔵内氏に対する議長職の辞職勧告決議案を提出した際は、林氏が採決中止を求める動議を出し、可決されました。
ほかにも、林県議は疑惑や高額な海外視察などを調べるために県や県議会が設置した3つの第三者委員会についても、『世論の圧力でこういう形になった。2億円以上の予算が必要で、完全に無駄だと思う』と否定的な考えを述べるなど、蔵内前議長を擁護する姿勢をまったく崩さず、県議団内でも持て余し気味でした。そんな状態でしたから、今回の“裏垢騒動”で見限る人が出ても、驚く人はいません」(同前)
現職県議が別の県議を攻撃するために“裏垢”を作る、という異常事態。だが、SNSに詳しいITジャーナリストの井上トシユキ氏は、「世間一般でもありえることです」と、こう警鐘を鳴らす。
「裏垢を使った、SNSでの匿名の人格攻撃は、じつは中高年の間でよくありがちなトラブルです。もともとネット環境に触れていなかったので、SNSも実社会の一部という認識が希薄なんです。そのため、SNSなら何をしても、何を言っても構わないと一方的に考えていて、しかも匿名性もあることで、後先考えずに誹謗中傷をしてしまいがちなのです。法改正もあって、アカウントのIPアドレスの開示請求は簡単に認められるようになりました。ネットリテラシーの教育が必要なのは、むしろ中高年なんですよ」
匿名で他人を攻撃する人間に、県議は務まるのだろうか。
![Smart FLASH[光文社週刊誌]](https://smart-flash.jp/wp-content/themes/original/img/common/logo.png)







