
わずか30分だけおこなわれた日米首脳会談(写真・アフロ)
9月22日、国連総会に出席するため訪米した高市早苗首相は、ニューヨークでトランプ米大統領と日米首脳会談をおこなった。日本国内の報道では「日米同盟の重要性を確認した」などと高く評価されているが、実際の成果はどうだったのか。識者たちの見方は一様に厳しいものだ。
上智大学の前嶋和弘教授は、今回の会談は「日本国内向けのアピール」という側面がかなり強かったと指摘する。
「その日のトランプ大統領はものすごくスケジュールが詰まっていて、高市首相との会談は過密日程のなかに無理やりねじ込んだ関係で、もともと45分だったのが、実際には30数分しかなかったようです。通訳を介してなので時間はさらに限られます。直後にトランプ大統領と中国の習近平国家主席の会談が控えていたので、日本としても焦って動く必要があったわけです」
会談の中身についても、トップ同士の個人的な関係構築には至っていないようだ。
「トランプ大統領は高市首相の名前を覚えておらず、『日本の女性首相』『彼女(she)』などと呼び、個人的に親密な関係が築けていないことがわかります。トランプ大統領が場を和ませようと言ったジョークに高市首相が反応せず、急に話を始めてしまうなど、コミュニケーション自体もあまりうまく取れていなかったようですね」(前嶋氏)
政治アナリストの伊藤惇夫氏も、日本の報道と実態のズレを厳しく指摘する。
「日本の報道では、米中首脳会談の前に日米首脳会談をやったことを評価する声が強いのですが、主要国のなかで、なんでもアメリカの言うことを聞くのは日本だけなんですよね。
どうせ高市首相はアメリカにゴマをするだけですから、トランプ大統領にしてみれば、安心して会える相手というか、ほかと会えないから暇つぶしに日本と会ったとも言えるわけです。まぁ、皮肉な見方ですが」
伊藤氏は、メディアの姿勢にも苦言を呈す。
「日本の報道関係者は、ふだんホワイトハウスに出入りする人物を取材していないですから、日本側の発表をそのまま垂れ流しているだけです。ですから、どういう外交が展開されたのかは、日本の報道だけ見てもわからないんです」
一方、国際ジャーナリストの山田敏弘氏は、具体的な成果はなかったとしつつも「顔つなぎの目的は果たせた」と一定の評価をする。
「トランプ大統領が習近平国家主席と会う前に、日本の立場を伝えられたのは非常によかった点だと言えそうです。面会時間は短かったものの、日本に対して防衛費の増額や投資を要求するような厳しい難題は出なかった。日本側はあえて一部の担当者を連れていかず、その場での具体的な交渉を避ける “戦術” をとったのではないかと推測されています」
トランプ大統領と高市首相の相性もいいという。
「トランプ大統領は強い女性リーダーを好む傾向があるらしく、高市氏がアピールする『凛とした強い女性』というスタンス自体は好まれているでしょう。
現在のアメリカにとって日本は『自分たちの一部』であり、『なんでも言うことを聞く』安定した存在であるため、よくも悪くもわざわざ強く意識したり気を使ったりする必要がない相手になっているわけです。明確な悪意を持って見下しているというより、『手のかからない従順な味方だから気にしていない』というのが実態のようです」(山田氏)
とはいえ、今後の日米関係について、前嶋氏は「決して安泰というわけではなく、アメリカからいろいろと厳しい要求が出てきそうです」と警鐘を鳴らす。
「具体的には、AI規制への協力、レアアースや大豆などをアメリカからもっと買うこと、→トル *これは中国の話です。 円安への対応、さらには日本の軍事費をGDPの3.5%まで引き上げろといった話が出てくる可能性があります。また、関税問題をめぐり、以前約束したアメリカへの投資が遅いという不満もあるでしょうね」
実際、その言葉を裏づけるとおり、その後におこなわれた米中首脳会談と晩餐会では「ともに協力し、日本軍国主義侵略者を撃退した」と日本を “悪者” にすることで絆がアピールされた。
アメリカにいいように使われる「従順な味方」から一歩踏み出し、したたかな外交を展開できるのか。高市首相の真の手腕が問われている。
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