
次期東大総長に決まった藤垣裕子氏(写真・共同通信)
東京大学は9月28日、次期第32代総長に大学院総合文化研究科の藤垣裕子教授を選出したと発表した。任期は2027年4月から6年間。東大の150年近い歴史のなかで、女性総長が誕生するのは史上初となる。
「藤垣氏は東京都生まれの64歳。科学技術社会論、科学計量学の分野で長年研究を続けてきました。1990年に東大大学院総合文化研究科で博士号を取得後、同大教養学部助手、総合文化研究科助教授などを経て、2010年から現在まで総合文化研究科の教授という経歴です。2021年から2025年には理事・副学長として学生支援や研究倫理などを担当してきました」(社会部記者)
29日に開かれた記者会見で、藤垣氏は「初の女性総長」としての決意をこう語った。
「来年150周年を迎えるが、ようやく初めて女性総長を生み出す。社会にとってもかなりメッセージ性がある。女性の学生が増えてほしいし、研究者をめざす女性が増えることを期待する」
意欲みなぎるコメントだが、この人事をめぐって波紋が広がっている。
「その選考過程が不信を呼んでいるのです。学内外の有識者でつくる総長選考会議が8月に候補者5人を選出しました。議長は元NHKキャスターで東京芸術大学理事の国谷裕子氏です。9月28日の学内投票で1回目に候補者が3人に絞られ、2回目の投票では副学長で工学系研究科教授の染谷隆夫氏が1107票と過半数の票を集め1位となりました。藤垣氏は553票で2番目でしたが、半分しか票のない藤垣氏が選ばれたのは『女性だから』『逆差別ではないか』といった疑問の声がSNSには噴出しています」(同前)
元衆議院議員で弁護士、そして自身も東大出身の山尾志桜里氏は、29日、自身のXでこう疑問を投げかけている。
《学内投票で過半数を得た候補を退け、その半分の票だった藤垣さんが東大の次期総長に。『総合的に勘案』という曖昧説明では女性優遇にしか見えず、これでは東大初の女性総長が『女子枠総長』になってしまいます。しかも選考基準に性別はないため『事実上の女子枠』的な運用も適正手続きに疑問符。『女性初のトップ』を作り出したことが男女差別を埋めるどころか分断を深めるパターンに陥っていませんか》
弁護士の紀藤正樹氏も、29日、藤垣氏が選出されたことを伝える読売新聞記事を引用してXを更新している。
《私は女性がトップに立つのは賛成の立場ですが、今回はやりすぎの感があります。民主制は組織の基盤でありあまりに民主制に反することは、組織の中に禍根を残しかねません》
おりしも、東大と双璧をなす西の雄、京都大学でも、学長選考をめぐって波紋が広がっている。
「10月1日付で就任する学長の選考で、教職員による投票が6人中3位だった立川康人氏が選ばれたのです。選考会議の議長を務めた平野俊夫元大阪大学長は『望まれる学長像を踏まえた』『全会一致の結論だ』と強調しましたが、教職員の労働組合は『教職員の意思を反映したものとは言い難い』と激しく批判しています」(前出・社会部記者)
藤垣氏が東大総長に選ばれた理由について、国谷氏は29日の会見で「資料や面接などに基づき、丁寧かつ真剣な協議を繰り返した結果として、責任を持って選んだ」と説明したが、いかにもわかりにくい。もし性別が理由でないのなら、東大にはより具体的に選出理由を説明してほしいものだが――。
![Smart FLASH[光文社週刊誌]](https://smart-flash.jp/wp-content/themes/original/img/common/logo.png)







