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【ウクライナ戦争】「1人あたりロシア兵300人」専門家が明かす驚異の交換比…ドローンと電子戦を操る「ヴィヴァルディ作戦」の実態とは

社会・政治 記事投稿日:2026.10.03 19:00 最終更新日:2026.10.03 19:03

【ウクライナ戦争】「1人あたりロシア兵300人」専門家が明かす驚異の交換比…ドローンと電子戦を操る「ヴィヴァルディ作戦」の実態とは

ヴィヴァルディ作戦を遂行するウクライナ軍兵士たち(写真・ウクライナ軍第三軍団の公式YouTubeチャンネルより)

 

 2022年2月に、ロシアによる一方的な侵略から始まったウクライナ戦争。開戦から4年半、圧倒的な戦力差で力押しをしようとするロシアに対し、ウクライナは西側の支援を受けつつ、防衛戦を続けてきた。そしてついに、新たな“反攻抗作戦”が展開されつつあるようだ——。

 

「ウクライナ軍第3軍団が主導するヴィヴァルディ作戦ですね。無人兵器と電子戦を複雑に組み合わせる新たな戦術がみられます」

 

 と明かすのは、防衛研究所上席研究官の高橋杉雄氏だ。現在の前線の状況について高橋氏はこう解説する。

 

「現在、ロシア軍とウクライナ軍が睨み合う前線には、無人機が完全に支配する『キルゾーン』という一種の“空白地帯”が生まれています。もしここを、人間や戦車が無理に侵入し、占領地を押し広げようとすると、立ちどころに見つかって攻撃されてしまいます。

 

 元々は、ドローンの出現によって簡単に敵兵を偵察・発見することが可能なったことで生まれた状況です。単純な無線ドローンだけが相手だったときは、妨害電波を出すなど電子戦をおこなえば無効化できました。ところが、光ファイバーによる有線誘導で妨害電波は無力になり、さらに指向性の高いアンテナでドローンをコントロールするなど、“対電子戦”が発達したことによって、ますますキルゾーンの面積が広がっています。現在では、奥行きが50km超、場所によっては100km近くにまで広がっています。

 

 このキルゾーン内では、絶対に大勢で動くことはできません。そのため、ロシア軍は1人ずつバラバラになって、かつての塹壕や民家の地下室などの上空から隠れられる場所を伝って、少しずつ前進するようになったのです」

 

 ドローンがあるからといって、100%ロシア兵を見つけることはできない。そして一度近づかれてしまえば、その兵力を安全に排除するのには、多大な労力が必要になる。

 

 そこで、しつこくそしてこっそり進んでくるロシア軍を押し返し、反撃するために実行されているのが「ヴィヴァルディ作戦」の最初の段階だ。ウクライナ軍は“世界初”の作戦だと喧伝している。

 

「この作戦は、単にドローンを使っているだけでなく、空からの攻撃、電子妨害、そして空飛ぶドローンで無人地上車両(UGV)を敵の後方に運ぶといった手法が組み合わされています。最終的には、無人地上車両が歩兵の露払いとして地雷や敵の位置をあらかじめ探り、前線を押し上げるという戦い方です。これほどの規模で、無人車両をドローンで前線に降下させる手法は、確かに史上初のことかもしれません。

 

 ウクライナ軍は、こうした手法をオーケストラのように複雑に組み合わせているため、ロシア側はうまく対応できていないようです。大きな役割を果たしていると推測されるのが、『アイスバーグ(氷山)』というシステムです。電子戦と無人機のオペレーションをスムーズに連携させ、例えば『このエリアはこの周波数で敵のドローンを妨害するから、そのエリアを飛ぶ味方のドローンは別の周波数に切り替えろ』といった指示を、このシステム上で簡単にできるんです。

 

 ウクライナ側の認識では、このキルゾーンでの交換比はウクライナ兵1人につきロシア兵300人という驚異的な数字になっています。言い値なので実際には1対100や200だとしても、相当偏っているのは間違いありません」

 

 ロシア軍からすれば、たまったものではない。ある日突然、自分の背後に無人車両という“殺人マシーン”がドローンによって降り立つことになるのだから——。

 

 この作戦で重要な役割を果たしているのが、多種多様な最新兵器だ。作戦に参加していることが映像などから確認されているものとして、航続距離約25kmで約30kgの爆薬を運べるマルチローター式ドローン「ヘビーショット(Heavy Shot)」や、約50kmを飛ぶ大型爆撃ドローン「ラザール(LASAR)」がある。

 

「さらに、負傷者の回収やUGVの空輸も可能な6プロペラの大型ドローン『バンパイア(Vampire)』の改良型の使用も確実視されています。また、4輪駆動のラジコンカー型UGV「ARK-1」も稼働しています。最高時速は約40km。約15kmの自律走行能力と15kgの積載能力をもっています。これに加え、従来から使われている自爆型ドローン『FP-1』『FP-2』、広く普及している『ネメシス(Nemesis)』や中国DJI製の『Mavic 3』なども組み合わされているとみられます」

 

 まさに、戦場そのものがドローン兵器の見本市のような様相を呈しているわけだ。まだまだ課題は残るものの、こうした複雑な作戦が成功を納めれば、キルゾーンを抜けだし、ロシア軍そのものを押し返すことにつながる可能性がある。

 

「この新しい戦い方の一番のポイントは、電子戦でロシア側の偵察ドローンを妨害し、相手の『目をつぶす』ことができている点でしょう。目をつぶせれば、ウクライナの兵士が集まって前進することができます。結局、ドローンでどれほど戦場をかき乱すことが出来ても、地域の占領そのものは人間の手でおこなわなければいけませんからね。

 

 現在、ヴィヴァルディ作戦は176平方kmを奪回したとウクライナは発表していますが、幅が10kmだとすると奥行きはまだ17kmしかありません。つまり、まだキルゾーンの中を進んでいるだけで、ロシア軍の陣地を突破するには至っていません。しかし、この戦い方のモデルを使いこなしていけば、突破に至るかもしれない。今後のより大規模な反攻作戦の大きな手がかりになるという点に意義があります」

 

 無人兵器と電子戦が支配する未来の戦場。ウクライナが編み出した新戦術は、膠着した戦局を打破する鍵となるかもしれない。

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出典元: SmartFLASH

著者: 『FLASH』編集部

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