
チームみらいの峰島侑也広報本部長(写真・長谷川 新)
10月5日、臨時国会が召集された。会期は12月12日までの69日間が予定されている。
今国会では、食料品の消費減税に関する法案と衆議院の議員定数削減に関する法案が2大焦点となる。
自民党と日本維新の会の与党が進める衆院議員の比例代表を45議席減らすという定数削減法案は、先の特別国会に提出されたが、継続審議となり、与党はこの審議を再開させる方針。しかし、野党は猛反対している。
政治部記者が言う。
「議員削減を含む衆議院の選挙制度の抜本的な改革をめぐる論議は、与野党の協議会で2026年4月から続けられてきました。その結果、現行の小選挙区比例代表並立制の見直しや議員定数の在り方について、政党間であらためて協議をおこない、10月末をめどに具体的な結論を得るよう努力するという形になりました。
ただ、協議会で各政党が主張した選挙制度の抜本的な改革については、有識者による第三者機関を設置して1年以内に答申を受け、協議を進めるということになっています。ですから、今国会ではおもに比例代表45議席の削減について論戦が展開されることになりそうです」
2026年2月の衆院選では、自民党が289ある小選挙区のうち、249選挙区で勝利。得票率は49.2%だったものの、議席占有率は86.2%とまさに1強という結果になった。
「野党はなんとか比例代表で議席を獲得できたわけで、与党が進めようとしている比例区のみ45議席削減が実施されてしまうと、中小政党である野党にとっては痛手です。そのため、野党はこぞって反発しています。
9月29日には衆院選挙制度の抜本改革を目指す与野党8会派の超党派議員連盟が、協議会の鈴木馨祐座長(自民党)に対し、定数削減の根拠が示されていないなどと申し入れました。議連には自民党議員も入っており、国会とは別に定数削減に反対する意思を発信していくようです」(同)
本誌は、定数が削減されれば影響の大きい少数政党であるチームみらいに、比例のみ45議席削減に反対する理由と、主張する衆院選挙制度の抜本的改革案について聞いた。
チームみらいは、2026年の衆院選で比例代表のみで11議席を獲得したが、仮に比例代表45議席減のもとで実施されていれば、3つ減の8議席となっていた。
衆院選挙制度協議会の協議員だったチームみらいの峰島侑也広報本部長が言う。
「まず1つめに、45議席というのは比例議席でいうと3割弱ぐらいが削減になるのですが、この比例枠というのは、政治の新陳代謝のためにかなり重要な役割を負っています。
たとえば、日本は女性の議員が非常に少ないと言われていますが、女性の議員は比例に非常に多い。小選挙区で通過する女性の割合と、比例で通過する女性の割合は2倍ぐらい違うんです。
若手議員もそうです。維新の吉村洋文代表も、1期めは比例での復活当選でした。ですから、そういった新人議員の方々も比例で当選するケースは非常に多く、ここを削るということは、政治の新陳代謝や多様性を失わせます。
2つめに、国際比較で見ても、日本の歴史的に見ても、いまはかなり国会議員の数が少ない状況になっています。OECD38加盟国で見ると、日本は人口100万人あたりの国会議員の数が下から3番めという少なさです。
アメリカはもっと少ないという話がありますが、アメリカは州の力がすごく強く、そもそも統治機構が日本とまったく違いますから、比較対象としては適正ではありません。
日本の衆議院に近い、イギリスとドイツの下院と人口比で比較すると、現在の定数はそれぞれの約2分の1から3分の1くらいですから、やはり少ない。
もともと衆議院の定数は500人だったのが、徐々に減っており、さらにここで45減らすというのは合理的な意味はかなり見出しづらいと考えています」
峰島議員はさらに3つめの理由について、こう話す。
「協議会で、有識者や地方の首長の方々をお呼びして、定数削減についてのヒアリングを実施しましたが、7人中賛成された方は1人もおらず、多くの方が明確に反対されました。その意見は重く受けとめなければいけないと思っています。定数削減に賛成する合理的な理由はないと思っています。削減自体にも比例のみの削減にも両方反対です」
次に、チームみらいが考える衆院選挙制度改革案については、このように話す。
「まず小選挙区について、RCV(優先順位つき投票)を導入しようと考えています。これはランキング投票と呼ぶ方がわかりやすい。当選してほしいという候補者を1位、2位、3位と順位をつけて名前を書く。
最初の集計で、1位の候補者が過半数に届かない場合は、最下位の候補者を除外して、その方に1位と書いた有権者の方が次の順位に書いた候補者に票を移し、過半数を得る候補者が出るまで繰り返し、自動的に集計するという方法です。
集計作業が大変だという指摘もありますが、ネット投票や電子投票でなくても、マークシート方式にすれば、次の衆院選からでも導入は可能だと考えています。
メリットはたくさんあります。まず、2026年衆院選小選挙区での死票は48%ありました。これがRCVなら、2位以下の票も活かされますから、死票が減ります。こうした死票は投票率の低下にもつながっていると考えています。
いまの投票率が低い理由のひとつに、自分が投じた一票がちゃんと活かされていないという懸念があるのではないでしょうか。ちゃんと自分の一票が活かされていると感じられれば、しっかり投票率が上がるだろうと思っています」
さらに峰島氏は、RCV導入のメリットについて続ける。
「選挙区調整や候補者調整の必要がなくなります。
通常の選挙では、考えが近いような野党の候補者が複数立候補すると票が割れるため、調整する場面が出てきます。有権者から見たときに、政党間の取り決めによって自分の地区には自分が応援している政党が出ない可能性があり、有権者としては納得しづらいことがあります。
ランキング投票を導入すれば、近い考えの人たちの票は最終的に1人に集約されていきます。開票していくときにどんどん下位の人が落ちていき、その人の考えに近い人にどんどん票が移っていきますから、調整がいらないと考えています。
実際、開票するときには下位の人が落ちていくと、その人の2位の票がどんどん移っていって、最後決選投票になります。この制度は基本的には2位の政党がすごく強くなる制度でもありますから、政権選択はよりしやすくなる。
たとえば、いまの政権はちょっと違うな、ほかの政権がいいな、というとき、2位の政党が非常に強くなるので、政権交代はたぶん起きやすくなります。
さらに、候補者の行動も変わると思います。いま候補者は自分の支持層にしっかりアプローチすること以外に、ほかの候補者を批判することくらいしかできないわけですが、ランキング投票にすると、さまざまな有権者の2番め3番めに書いてもらうことも非常に大切になってきます。
すると、やはりほかの候補者の悪口とかは言いづらくなるんですよ。候補者が穏健的な行動を取ることが予想されるので、特に近年、海外などで分断が非常に深まっているなかで、こういった穏健化効果は非常に大切なポイントではないかと思います」
ほかにも、比例代表で各党の得票数を議席に換算する計算方法について、現行の「ドント式」から「サンラグ式」に変更することを提案している。
「ドント式は得票を1、2、3……で割るのに対し、サンラグ式は1、3、5…と奇数で割るため、大政党の2議席め以降が出にくくなるため、中小政党にも議席が回りやすく、なんと言っても得票率に近い議席配分になります。
得票率と議席配分のズレがサンラグ式のほうが小さくなり、得票率により近い議席配分になるので、理にかなっていますし、こちらのほうがフェアだと思います。
ドント式のほうが大政党に有利ですから、それがサンラグ式をいままで導入しなかった理由のひとつなのかもしれません」(峰島氏)
はたして、チームみらいの提案はどこまで活かされるだろうか。
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