
所信表明演説をした高市早苗首相(写真・長谷川 新)
10月5日、臨時国会が召集され、衆院本会議で高市早苗首相が所信表明演説をおこなった。だが、演説に登場する言葉にSNSでは不快感を示す投稿が相次いでいる。
高市氏は演説に先立ち、沖縄県で発生した強盗殺人事件で米海兵隊員が逮捕されたことに触れ、日本政府としてアメリカ側に強く抗議するとともに再発防止の徹底を強く求めたなどと勇ましく宣言した。
高市氏は演説の前半にこう話した。
「私が貫く志は、「経世済民(けいせいさいみん)」です。『世を経(おさ)め、民を済(すく)う』、高市内閣の最優先課題は、経済の力で、国民のみなさまの暮らしを守り、希望ある未来を切り拓くことです」
政治担当記者がこう語る。
「経世済民とは、中国の古典に由来する言葉で『経済』の語源ともされています。言葉どおり『世をおさめ、民をすくう』という意味ですが、SNS上では《上から目線》などと拒否反応が起きているようです」
Xには
《こいつ何様のつもり。どれだけ上から目線なの。》
《国民は「治められ、救われる民」ではなく、主権者です。》
《私たち国民がまるで権力者の下僕のような言い方。》
自民党関係者が言う。
「勇ましい言葉を使うのは高市さんらしいですが、本人は国民の奉仕者というよりも国民のリーダーだという意識のほうが強いため、ああいった言葉に特に違和感は抱いていないのではないかと思います。
演説の中盤でも、消費減税についての財源確保について『特例公債に頼らずに確保することとしており、ご心配には及びません』としたあと、再び『すべては「世をおさめ、民をすくう」ため、ともに前に進んでいこうではありませんか』と同じ言葉を使って呼びかけていましたから、よほど気に入ったのでしょうね」
演説では、経済問題を中心に据え、高市政権の看板政策である「責任ある積極財政」に取り組む意欲を強調したが、この所信表明演説には野党から批判の声が出ている。
公明党の岡本三成代表は、5日の記者会見で、演説原稿全24ページのうち経済が14ページを占め、外交3ページ、防災減災2ページ、安保1ページ、憲法半ページ、農業1行、環境1行、教育ゼロ、福祉ゼロ、政治改革ゼロなどと具体的にあげ、「経産大臣の所信演説みたいだった」と苦言を呈した。「全分野でリーダーシップを取るべき首相の所信としてはバランスが悪い」と評したのだ。
「野党からは消費減税の財源を示していないことに批判が出ており、国民民主党の玉木雄一郎代表は『具体性が乏しい』と指摘し、共産党の田村智子委員長も『財源を示さない税制改革提案はあり得ない』と批判しました。
公明党の岡本代表も『心配に及ばないと言われると心配になる。根拠を示していない』と指摘しており、臨時国会で焦点となる食料品の消費減税の議論も白熱しそうです」(前出記者)
また、「国民のみなさまの手取りを増やし、暮らしを豊かにしながら、『財政の持続可能』も確保する。その両方を実現することこそが『責任ある積極財政』の意味なのです。いまこそ『責任ある積極財政 元年』の幕開けです」と謳った高市氏。
この言葉に前出の自民党関係者は「高市さんは首相に就任して、ほぼ1年が経とうとしています。ですから、『幕開けです』と宣言するなら、この1年間は何をやっていたのかとツッコミたくもなりますね」と苦笑する。
臨時国会で高市氏の出席は従来よりも減る可能性が高いとみられているが、高市氏は出席する国会において、自分の言葉で野党と議論を戦わせることができるだろうか。
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