簗和生農水相(写真・長谷川 新)
「大臣就任前の一議員としての活動に関わる事柄については、回答は控えたい」
2026年5月、自民党大田原支部(栃木県)の懇親会で、那須烏山市と那珂川町の2026年度の道路予算を「大幅にカットをしました」と発言していた簗(やな)和生農林水産相。報道による発覚直後には、冒頭のコメントを連発して「一議員」としての記者会見もかたくなに応じてこなかったが、10月2日にやっと会見を開いた。しかしその会見は「のらりくらりの禅問答」(政治担当記者)のようだったことから、火に油を注ぐ結果となり、批判はさらに高まる結果となった。簗氏は5日にあらためて会見を開かざるを得なくなり、そこで発言の謝罪と撤回を表明した。
2日から5日にかけて、簗氏周辺で何が起きていたのか。“簗劇場”の舞台裏を追った。
「簗氏の発言について当初、本人はもちろん、官邸も問題意識は高くありませんでした。『実際に予算には影響を与えていない。支持者の前で格好つけて、しゃべってしまっただけだ』というロジックで逃げ切れると思っていたのです。
しかし、世論の批判の高まりを受け、2日、木原稔官房長官が主導して、簗氏にきちんと説明するよう求めたほか、危機感を強めていた旧安倍派(簗氏もかつて所属)の先輩にあたる萩生田光一幹事長代行も『きちんと発言を謝罪するように』と伝えました。
これを受けて簗氏は、急遽、会見を開いたのですが、『表現ぶりが誤解を招くものだった』『そういう発言をしたんだという風に思う』と話すのみで、謝罪や撤回をしなかったことから、官邸幹部も自民党執行部も頭を抱える事態になりました」(政治ジャーナリスト・青山和弘氏)
週が変わった5日、簗氏は再び会見を開くことになる。
「この日は臨時国会の召集日でした。午前、首相官邸では臨時閣議が開かれ、もちろん簗氏も出席していました。臨時閣議が終了したのは午前9時過ぎ。その後、簗氏は官邸内で高市首相と面会したということです。
高市首相に謝罪した簗氏に、首相は『農林水産行政の推進に向けて、職責をまっとうするように』と言葉をかけたと、簗氏が明らかにしています」(政治担当記者)
青山氏はこの席で、2度めになる「一議員としての会見」が決まったと見ている。
「高市首相、木原官房長官と面会した簗氏ですが、一転して発言を謝罪・撤回することになりました。高市首相には依然として簗氏を更迭する考えがなく、簗氏にも『全力で仕事をせよ』と伝えています。
ただ、簗氏を自らの『知恵袋』と持ち上げ、『裏金を収支報告書に記載しなかった比例復活議員』でありながら、農林水産相に抜擢したわけですから、高市首相の任命責任が今後、問われるのは確実です。対応が後手に回れば、さらに傷口が広がる可能性もあります」(青山氏)
高市内閣にとっては、マスコミ各社がおこなう、今後の世論調査の結果も気になるところだろう。
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