簗和生農水相(写真・長谷川 新)
自らの発言をめぐって、またしても謝罪と釈明に追われた──。
10月7日午前、自身を支持しなかった自治体の道路予算を削減したとの発言をめぐり、自民党の簗(やな)和生農林水産相は農水省内で報道陣の取材に応じた。
この問題について簗氏は「個人の政治活動に関するもの」として明言を避けてきたが、6日の会見で「高揚感があって誇張した表現をしてしまった」と釈明、7日には「働きかけはなかったが、関係者や国民を騒がせたことについてお詫び申し上げたい」と陳謝した。進退を問われると「農林水産行政を前に進めたい」などと述べ、辞任は明確に否定した。
簗氏は2026年2月の衆院選で栃木3区から立候補。保守分裂となった選挙で対立候補に敗れたものの、比例復活で当選となった。その後、5月に栃木3区内で開かれた自民党の会合で、首長が対立候補を支援した那須烏山市と那珂川町について「道路予算を大幅にカットした」などと発言していた。
このときの録音データが報じられたことで発言は事実と認めているが、辞任についてはかたくなに否定している。その背景について、大手紙の政治部記者がこう解説する。
「辞任したところで野党の追及ターゲットが切り替わるだけなので、高市早苗首相はやめさせるつもりがありません。簗氏としては、追及を真っ正面から受けるしかないのでしょう。
とはいえ、農水委員会などで追及を受ければ、当然、法案審議への影響はあります。いまおこなっているのは、この問題について丁寧な説明をしていると主張するための “アリバイ作り” のようなものです。
会見といってもぶら下がりで、15分くらい耐えればよく、ネタがなければ開く必要もありません。世間からどう見られるかを除けば、次善の策として有効なんです」
そもそも、今回の問題が単なる失言で終わりにくいのは、「道路予算」がテーマだからだという。
「国内の道路は、一般にはほとんど知られていない政治団体『全国道路利用者会議(全道利)』が整備計画に大きな影響力を持っています。そして、元会長で元自民党幹事長の古賀誠氏が、いまも隠然とした力を持っているとされます。
古賀氏は高市政権の “後ろ盾” である麻生太郎元首相の政敵です。麻生氏としては、道路という利権を何としても手にしたい。もちろん、高市首相や故・安倍晋三元首相が属していた旧清和会関係者もずっと狙ってきました。自民党にとって道路は利権であり、これを差配することが権力の源泉なわけです」(前出・政治部記者)
こうした背景を踏まえると、今回の発言は単なる不用意な失言として片づけられないという。
「簗氏は、『国交省の役人を呼びつけることもできる』と発言していたようなので、当分は党と国交省の接触は厳しい目で見られるでしょう。道路に関する陳情は自治体だけでなく後援組織からもひっきりなしにあるわけで、これを役所につなげないとなると大問題です。
陳情の窓口として『全道利』の存在が再認識されることになります。自民党としては、こっそり利権争いをしていたわけで、簗氏の発言が党に与えた損害は致命的ともいえるわけです」(同)
来週にも衆参の予算委員会が開かれる見通しで、実際に道路予算が削減されている以上、国交相や簗氏には答弁が求められる。最終的に問題を収束させるには、首相の判断が大きな意味を持つ局面に入っている。
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