簗和生農水相(写真・長谷川新)
簗和生農林水産相が、道路予算を「大幅にカットした」などと発言した問題で、10月5日には正式に発言が自身のものだと認め、謝罪と撤回を表明した。
簗農相は、2026年5月24日に開かれた自民党大田原支部(栃木県)の総会後の懇親会で、2月の衆院選で首長が簗氏を応援しなかった那須烏山市と那珂川町の2026年度の道路予算を最大で6割削減したと話していた。発言の音声データが報じられ、大きな騒動になっていた。
「当初、簗氏は音声を確認していないなど言い訳に終始しました。臨時国会がスタートすれば野党からの追及が強まることは必至で、もっと早く謝罪しておけばよかったのに、とは思いますが、本人は逃げ切れると考えていたのかもしれません。
結果として、農水相としての進退、さらには選挙で『私の大事な簗ちゃん』と応援した高市早苗首相の任命責任も問われることになりました。臨時国会は冒頭から波乱含みです」(政治部記者)
簗氏は「道路予算削減の働きかけをしたという事実はない」と否定。国土交通省も10月6日の会見で、簗氏から問い合わせはあったが、圧力などについては「ないと思う」と否定した。
その一方で、首長が簗氏を応援した那須塩原市は11%、那須町では34%、2026年度の交付金の一部が増えていたことを9月6日の毎日新聞が報じ、簗氏、国交省の発言の整合性が改めて問われる事態になっている。
栃木県は「保守王国」と呼ばれ、自民党が強い地域である。県内には5つの衆院小選挙区があるが、2026年2月の衆院選では、そのうち4選挙区で自民党公認候補が議席を獲得、簗氏が小選挙区で敗れた栃木3区も、自民党系無所属議員が勝利を収めた。
そこで当選6回を重ねた簗氏とは、どういった人物なのか。栃木県を地盤に政治活動をし、衆院選で簗氏と激闘を繰り広げてきた元衆院議員の渡辺喜美氏に聞いた。
「冗談のひとつも言わないし、演説も人の心には響きませんが、まわりくどい表現の『お役所言葉』で話す能力は確かに高い。それと地元をよく回る。呼ばれていない会合にも顔を出しますね。
簗さんと高市総理の結びつきは、簗さんの選挙区・那須町出身の衆院議員で、かつて森喜朗さんの派閥に属していた蓮実進さんの息子さんが、高市総理の秘書になっているんです。もう大ベテランですよ。その縁で、高市総理は簗さんを応援するようになったんです」
渡辺氏は、衆院議員になって間もないころの簗氏を覚えている。その印象は「政治の流儀をわかっていない」だった。
「地元の要望を直接国交省に伝えてトラブルになることが、たびたびあったんです。予算の “箇所付け(かしょづけ)” は、まず市町村からの要望を県にあげて、県はそれらの要望をまとめて国にあげる仕組みです。
ところが、簗さんはそうした順序を吹っ飛ばして個人で箇所付けを要望するから、国交省も県も市町村も内容がわからず面食らってしまう。それで『これは何なんだ』と大騒ぎになるんですよ」
臨時国会が始まれば、野党の追及が厳しくなると予想される。渡辺氏は「簗さんが自滅(辞任)するのを待っている人が多いんじゃないですか」と言う。
「前回の組閣は自民党副総裁の麻生太郎さんが主導しましたが、今回はアンケートに基づき、何人かを高市総理が “一本釣り” して決めた人事です。
高市総理は、世論調査でも入閣の反対が多い裏金不記載議員を『2度の選挙で禊を受けた』と押し返して起用しました。簗さんもそうです。それがこの有り様です。
しかも、簗さんは小選挙区で負けた比例復活ですから、入閣待機組が多い党内では反感があります。麻生さんや萩生田光一さんにしたら、支持率が下がるのは大歓迎。
高市総理だって、更迭すれば自分の任命責任を問われますから、対処は難しいですね。ただ、簗さんはメンタルが強いから自分からやめないかもしれません」(渡辺氏)
地元が結んだ簗大臣と高市首相。更迭はしないとされるが、まだまだ批判は収まりそうにない。
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