
左から鈴木俊一自民党幹事長、高市早苗首相、麻生太郎自民党副総裁(写真・長谷川 新)
自民党の鈴木俊一幹事長が、10月5日、記者会見で語った衆院議員定数「31減案」が波紋を広げている。
自民党と日本維新の会が2025年10月に結んだ連立政権合意書に盛り込まれた衆院議員の定数について、《1割を目標に削減する》と明記された法案は、先の特別国会で自民党と維新が共同提出。だが、野党の反対で継続審議となっており、今国会の焦点のひとつとなっている。法案では衆院の比例区のみ45減らすとしている。
政治担当記者がこう解説する。
「鈴木幹事長は5日の会見で『いままで45と言っていたが、人口減少を反映させると、たとえば31になる』と新たな削減案について言及しました。しかし、会見後に発言を即撤回しています。
法案に強いこだわりを持つ維新の吉村洋文代表(大阪府知事)は6日、鈴木氏から謝罪があったことを明かし、『自民・維新とすれば45削減という方針に変わりはない』と強調しました。
この法案については比例代表に議席の多くを頼っている野党から猛反対が起きており、鈴木氏が野党との落としどころを探るために発したという見方や、国民民主党が人口減少を反映した定数削減に理解を示していることもあり、同党に秋波を送ったのではないかとみる向きもあります。
法案が可決されれば、法施行から1年以内に結論が出ない場合、自動的に衆院比例代表の定数(176)を45減らすことになります」
維新の藤田文武共同代表は、7日の会見で「45減の法案を成立させる方針はまったく変わらない。今国会ですっきり決着をつけたい」と意気込んだ。
しかし、この定数削減問題について、衆院議長の下に設けられた与野党の「衆議院選挙制度に関する協議会」では、出席した有識者・首長から賛成意見が出なかったことが明らかになっている。
そのため、自民議員も参加した超党派の議員連盟が、9月29日に協議会の鈴木馨祐座長(自民党)に対し、定数削減の根拠が示されていないなどと申し入れている。
今国会前に、本誌が話を聞いたチームみらいの峰島侑也広報本部長はこう話していた。
「協議会で、有識者や地方の首長さんの方々をお呼びして、定数削減についてのヒアリングを実施しましたが、7人中賛成された方は1人もおらず、多くの方が反対されました。その意見は重く受けとめなければいけないと思っています。
OECD38加盟国で見ると、日本は人口100万人あたりの国会議員の数が下から3番めという少なさです。日本の衆議院に近い、イギリスとドイツの下院と人口比で比較すると、現在の定数はそれぞれ約2分の1から3分の1くらいですから、やはり少ない。
もともと衆議院の定数は500人だったのが、徐々に減っており、さらにここで45減らすというのは合理的な意味はかなり見出しづらいと考えています」
また、日本共産党の塩川鉄也国対委員長もつぎのように話していた。
「今年の協議会で発言した有識者や首長さんら7人のなかで、定数削減を是とした人は1人もいなかったのです。国会議員というのは国民の代表です。議員の定数を減らすということは、国民の代表を削ること、民意を削るものにしかなりません。議会制民主主義の土台を掘り崩すものであるし、あわせて行政の監視機能、政府監視機能を後退させるものになります。
議員定数を減らせば、国民の声はますます国会に届きにくくなります。地方の声や、女性や若者の声が届かなくなると、多くの有識者の皆さんが批判されていたのが、協議会での議論の特徴でした」
さらに塩川氏は、10年前の有識者調査会の例もあげて、こう話していた。
「直近の定数削減がおこなわれた2016年、有識者調査会は『削減する積極的な理由や理論的根拠は見出しがたい』と答申し、法案審議で『定数削減に合理的根拠は存在しない』ことを与野党が共有したことは重要で、これが定数削減問題の国会の議論の到達点なのです」
10月5日の所信表明演説で、定数削減法案にあらためて意欲を示し、「今国会で実現に向けしっかりご議論いただくことを期待しています」と語った高市早苗首相。定数削減法案について、今国会で合理的根拠をどう示すのかに注目が注がれそうだ。
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