簗和生農水相(写真・長谷川 新)
2月の衆院選で自身を支持しなかった首長の自治体の道路予算を「大幅にカットした」などと発言したことが非難されている簗(やな)和生農林水産相。その進退窮まった大臣に、さらなる疑惑が持ち上がっている。10月7日に『週刊文春』が報じた「シャトルバス買収疑惑」である。
「報道によると、2024年と2026年の2回の衆院選で、簗氏は公示日にシャトルバスを手配して、無料で支援者を送迎していたといいます。これらを選挙運動費用から支払っており、それは “寄付” にあたるかもしれず、公職選挙法に違反する可能性があるのです」(政治担当記者)
10月13日午前の衆院予算委員会では、自民党議員からの追及に対し、簗農水相は「地元スタッフが(栃木県の)選挙管理委員会にバスを借り上げる前に確認し、『会場費の一部として計上する』という回答を踏まえて(収支報告書に)計上した」と発言、法的な問題はないとした。
だが、この答弁こそが、自ら墓穴を掘る致命傷となった。事態を一変させたのは、午後の委員会で質問に立った「民主改革の会」の山岡達丸議員である。
山岡議員は、昼休みの間に栃木県の選挙管理委員会に確認したところ、「簗氏から問い合わせがあったという記録がない」「担当者に確認したら記憶もない」と言われたという。さらに、「もし(送迎を)やる前に聞かれたら、実例判例集に基づいて違反になると答えるはずです」との回答も明かした。
「山岡議員が『午前中、借り上げる前に確認したとおっしゃったのは虚偽答弁ですか』と鋭く詰め寄ると、簗氏は『スタッフから聞いたので』と言い訳するのがやっとでした。
じつは午前の委員会に立った自民議員も、簗農水相の回答に首をかしげていました。議場では『あんなこと言って、大丈夫なのか』とヒソヒソ声が漏れるほど。ようするに、簗氏の答弁が杜撰だったのです」(同)
この醜態には、さしもの官邸中枢も凍りついた。
「さすがの高市早苗首相も堪忍袋の緒が切れたようで、委員会終了後、簗氏に近づき、声をかけていました。簗氏は直後に高市首相の後を追ったので、控室で詰め腹を切らされたものと思われます。『私の大事なやなちゃん』と語ったこともあるほどの蜜月ゆえ閣僚に抜擢したわけですから、人一倍気にしているのでしょうね」(官邸関係者)
これまで高市首相は、10月8日の代表質問で「襟を正して職務を全うしてほしい」「とにかく働いて仕事で返せ」などと庇い、更迭を否定してきた。
しかし、10月13日の予算委員会では、予算カット発言に対して「事実であるとしたら本当に不適切なもので、本当にダサい」、シャトルバス疑惑についても「仮に違法性があれば躊躇しない」と、明らかに更迭を示唆するトーンに変わってきている。
こうした決断に至った背景には、党内からの強烈なプレッシャーがあったという。
「じつは、参院自民の一部に、野党から簗農水相の問責決議案が出されたら『賛成にまわろう』という不穏な動きがあったのです。というのも、参院自民には、先の石井準一前幹事長の交代劇に対する強い不満が燻り続けていますから。
臨時国会の会期が短いにもかかわらず、消費減税と定数削減という重要法案が2本も控えており、少数与党である参院の舵取りはただでさえ至難の業。このままでは政権が足元から崩れかねず、そんな事態を避けるためにも、“お荷物” の簗氏を切り捨てる以外に道はないのです」(同)
高市首相は10月14日にも簗農水相と直接面談し、最終的な通告を下すとみられる。自らの軽率な言動と虚偽答弁で、簗氏の政治生命が、いま音を立てて崩れ去ろうとしている。
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