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「だんじり祭りをやめろ」相次ぐ死傷事故への批判に著名思想家が猛反論「まわりの人間が言うのは筋違い」

社会・政治 記事投稿日:2026.10.18 12:00 最終更新日:2026.10.18 12:00

「だんじり祭りをやめろ」相次ぐ死傷事故への批判に著名思想家が猛反論「まわりの人間が言うのは筋違い」

死亡事故が起きただんじり祭りの現場(写真・共同通信)

 

 大阪府の岸和田市や堺市、泉大津市、泉佐野市を中心に広くおこなわれている秋の風物詩「だんじり祭り」。重さ数tにも及ぶだんじりを曳いて街中を疾走し、交差点を勢いよく曲がる「やりまわし」は、祭りの最大の見せ場として知られる。ところが、この約300年以上の歴史と伝統を誇る祭りは、いま、存続危機に立たされているという。

 

「10月10日、泉佐野市でだんじりが右折する際に横転し、下敷きになった男性が亡くなり、7人が重軽傷を負いました。さらに、同じ日には泉大津市でも右折中のだんじりが転倒し、男性が死亡、9人が負傷する事態となりました。

 

 たまたまではありますが、同じ日に『だんじり祭り』のせいで2人もの尊い命が失われてしまったことになります。お祭りということもあり、生々しい事故の現場を収めた動画が拡散され、SNS上では『危ないからやめるべき』『時代に合わない』といった声が出ている状況です」(社会部記者)

 

 だんじり祭りは、もはや中止すべき伝統なのか。こうした声を「それは筋違いですよ」と一刀両断するのは、身体論に詳しい思想家の内田樹(たつる)氏だ。内田氏は“知の巨人”として活躍する一方、武道家として合気道凱風館を主宰している。そして何より、地元・神戸市にある本住吉神社でおこなわれる、だんじり祭りに毎年、参加している“だんじり通”でもある。

 

「だんじりや長野の御柱祭など、危険な祭りは世のなかにたくさんありますが、みなさん、自己責任でやってらっしゃることです。『危険だからやめろ』と言うのは、『事故が多いからF1をやめろ』と言うのと同じことです。ご本人たちが楽しいからなさっていることなのですから、自己決定に委ねるべきです。岸和田のだんじりではしばしば死者が出ますが、祭礼はこれまでに亡くなった方たちへの法要から始まります。それだけの覚悟で、みなさん祭礼に参加されている。伝統的な祭祀であり、かつ60万人の観客が来る観光資源に対して、よその人間が『危ないからやめろ』と言うのは、筋違いでしょう」

 

 だんじりをやめるかどうかを決めるのは、当事者である地区の人たちの問題であり、SNSを中心とするような“外野”が口を挟む権利はないと内田氏は指摘する。

 

「死者が出るリスクのあるアクティビティは、山のようにあります。柔道では年間平均4人が亡くなっていますが、『危険だから柔道の稽古を止めろ』と言ったら、武道家の方たちは『自己責任でやっていることだから放っておいてくれ』と言うでしょう。

 

 だんじりは4tの重さがあります。『遣り回し』をすると、制御し切れずに建物を壊したり、曳き手を挟んでしまったり、大工方が落ちて怪我をするということはあります。でも、リスクが高いということが一方では祭のステイタスの高さを基礎づけてもいる。岸和田のだんじり、諏訪の御柱、博多の祇園山笠が日本では別格のものとされていますが、それは参加者がハイリスクを取っているからです」

 

 近代的な安全基準や“常識”で語れるものではないという。

 

「常識で測ろうとしても無理なんです。参加者たちだって『非常識なことをやっているのはわかっている』んですから。重さ4tのだんじりを高速で引っ張って90度回すことに合理的な理由なんかあるはずがない。『昔からこうやっている神事だから』としか言いようがない。家の塀が壊されたというような直接的な被害者の声は傾聴すべきでしょうが、当事者以外は他所の祭礼についてはコメントしないのが節度ある態度だと思います」

 

 だんじりの本質的な意義や、地域コミュニティにおける祭りの重要性をこう説明する。

 

「だんじりは海民の祭りで、地車そのものは『船』を模したものです。祭神の御霊を地車に遷して、氏子たちの生活圏を巡礼して祝福してもらう。その点では神輿とも天神祭の船渡御ともおなじです。

 

 身体論的な視点から言うと、祭礼では『身体的な一体化』が求められる。呼吸が合うことが重要です。複数の身体が一つにまとまり、共同体的な身体を形成することが必須という点では、サッカーやラグビーのようなスポーツとも同じです。

 

 祭りの場では『いつも店で会う気楽なおじさんが、祭りをビシッと仕切るリーダーだった』というような発見があります。祭りの後に街角で行き合えば挨拶する。そうやって地域社会の親密さを深めている。もちろん地域住民の全部が参加しているわけではありませんが、祭礼の参加者は地域社会を守る強い意志を持った人たちです。伝統的な祭礼は守り抜くべきです

 

 最後に内田氏は、伝統ある祭りの形を維持していくための覚悟について言及した。

 

「多くの祭では、祭に参加するために全国に散らばった氏子たちが地元に戻ってくる。祭が地域を統合する軸になっているのです。ネット上の『やめろ』という書き込みは、現実を知らない過激な少数意見です。そんなものに耳を傾ける必要はありません」

 

 ネット上の“覚悟のない言説”には与する必要がないというわけだ。

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出典元: SmartFLASH

著者: 『FLASH』編集部

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