
左から鈴木俊一自民党幹事長、高市早苗首相、麻生太郎自民党副総裁(写真・長谷川 新)
10月21日夜、与野党間で協議している衆院選の制度改革をめぐり、自民党が「折衷案として衆院議員定数の削減幅を31にする調整に入った」などと「毎日新聞」が報じ、自民党への批判が続出している。
政治部記者が言う。
「20日の政党間協議で、自民党の鈴木馨祐衆院議員は、次回の会合に折衷案を提示するとしていました。この定数削法案は、自民党と日本維新の会が2025年10月に結んだ連立政権合意書に盛り込まれており、先の特別国会に共同で提出されています。
法案では、法律施行後1年以内に与野党協議で結論が得られなかった場合、比例代表の定数を45削減するとしていますが、野党は猛反対しています」
この「31減案」については、自民党の鈴木俊一幹事長が10月5日の記者会見で「いままで45と言っていたが、人口減少を反映させると、たとえば31になる」と新たな削減案を言及したが、会見後に即、撤回するという場面があった。
自民党関係者が言う。
「今回の報道をみると、鈴木さんの『31』発言にはなんらかの意図があったのではないかと感じます。おそらく、ほかの政党がどういう反応をするかという観測気球の意味合いがあったのでしょう。
国民民主党が人口減少を反映した定数削減に理解を示していることもあり、秋波を送ったのではないか、あるいは野党との落としどころを探るために発したのではないか、という見方が出ていましたが、実際のところ、鈴木さんが発した際は、自民党執行部内ですでに有力な削減案として固まっていたフシがあります」
この定数削減問題は、政党間協議の前に、衆院議長の下に設けられた与野党の「衆議院選挙制度に関する協議会」で各政党の意見が議論された。この「協議会」に出席した有識者・首長から定数削減について賛成意見が出なかったことはすでに明らかになっている。
今国会前に本誌が話を聞いた「チームみらい」峰島侑也広報本部長は、与党の削減法案に反対する理由をこう話していた。
「協議会で、有識者や地方の首長さんの方々をお呼びして、定数削減についてのヒアリングを実施しましたが、7人中賛成された方は1人もおらず、多くの方が(定数削減に)反対されました。その意見は重く受けとめなければいけないと思っています。
OECD38加盟国で見ると、日本は人口100万人あたりの国会議員の数が下から3番めという少なさです。日本の衆議院に近い、イギリスとドイツの下院と人口比で比較すると、現在の定数はそれぞれ2分の1から3分の1くらいですから、やはり少ない。
もともと衆議院の定数は500人だったのが、徐々に減っており、さらにここで45減らすというのは合理的な意味はかなり見出しづらいと考えています」
また、日本共産党の塩川鉄也国対委員長は、10年前の有識者調査会の例をあげて、定数削減に反対する理由のひとつをこう話していた。
「直近の定数削減がおこなわれた2016年、有識者調査会は『削減する積極的な理由や理論的根拠は見出しがたい』と答申し、法案審議で『定数削減に合理的根拠は存在しない』ことを与野党が共有したことは重要で、これが定数削減問題の国会の議論の到達点なのです」
今回の自民党の「31減案」には、X上で
《先進国最低水準の議員数をさらに減らせば 多様な声が切り捨てられ、一党独裁が加速する恐れ》
《日本は人口当たりの議員数が少ないのだから、定数削減は根本的に間違っている。経費削減目的なら、世界屈指の高額議員経費を削減すればよい》
などの批判が集まっている。一方で、時事通信の2026年10月の世論調査では、衆院議員定数の削減について「今国会で結論を出すべきだ」と「どちらかと言えば結論を出すべきだ」を合わせると51.2%にのぼったという(「今国会にこだわる必要はない」「どちらかと言えばこだわる必要はない」は合計36.0%)。
衆院の定数削減法案は、はたしてどこに向かうのか。このまま迷走しなければいいのだが。
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