
国民民主党の玉木雄一郎代表(写真・長谷川 新)
今国会の焦点のひとつとなっている衆議院議員の定数削減問題をめぐり、10月26日に国民民主党が党会合で比例のみの削減を受け入れたうえで、19削減とする案を取りまとめたことにSNSでは批判が相次いでいる。比例のみの削減は少数政党にとっては不利になるとみられている。
もともとは自民党と連立与党を組む日本維新の会が、比例のみの45削減を主張。しかし、これではまとまらないと考えた自民党が2015年の国勢調査の人口と2030年推計人口の減少率からはじき出した31減などの折衷案を出した。これに対し、23日時点で国民民主党内ではある程度評価する声があがり、25日には同党が自民党の折衷案に賛成する方向で調整に入ったと「朝日新聞」が報じていた。
政治部記者が言う。
「国民民主党の玉木雄一郎代表は今年6月、比例のみ45削減案について『自民、維新に有利。事実上のゲリマンダー(特定の政党や候補者に有利になるような選挙制度)になる』などと批判していました。また、同月に衆院選挙制度に関する協議会に参加していた古川元久代表代行も、『選挙制度と定数は一体。協議会で議論しているときに比例45削減というのは失礼な話だ』と与党を批判していました。今回の19減案の計算の根拠について、起点は自民党と同じ2015年の人口ですが、2025年の国勢調査と比較して出した数字だとしています。また、26日に自民党の31減折衷案について記者団に問われた古川氏は、賛否を留保しています。45減から31減、そして19減という数字が出てくるあたり、とにかく削減ありきという印象で、合理的根拠が乏しいような気がします。
野党では、民主改革の会とチームみらいは31減の折衷案に賛同できない見解をまとめています。公明党と参政党も反対の方針を決めており、共産党は削減自体に反対しています」
今国会前、「チームみらい」峰島侑也広報本部長は、与党の削減法案に反対する理由を本誌にこう話していた。
「衆議院選挙制度に関する協議会で、有識者や地方の首長さんの方々をお呼びして、定数削減についてのヒアリングを実施しましたが、7人中賛成された方は1人もおらず、多くの方が(定数削減に)反対されました。その意見は重く受けとめなければいけないと思っています。
OECD38加盟国で見ると、日本は人口100人あたりの国会議員の数が下から3番めという少なさです。日本の衆議院に近い、イギリスとドイツの下院と人口比で比較すると、現在の定数はそれぞれ2分の1から3分の1くらいですから、やはり少ない。
もともと衆議院の定数は500人だったのが徐々に減っており、さらにここで45減らすというのは合理的な意味はかなり見出しづらいと考えています」
また、日本共産党の塩川鉄也国対委員長は、10年前の有識者調査会の例をあげて、定数削減に反対する理由のひとつをこう話していた。
「直近の定数削減がおこなわれた2016年、有識者調査会が『削減する積極的な理由や理論的根拠は見出しがたい』と答申し、法案審議で『定数削減に合理的根拠は存在しない』ことを与野党が共有したことは重要で、これが定数削減問題の国会の議論の到達点なのです」
国民民主党の19減案に対しては、X上では批判が巻き起こっている。
《しかし人口減とは言え、世界的に見て議員数が日本は足りてないと言うのに、どうして賛成に傾くのか全く納得できませんね。所詮自民党補完勢力国民民主党》
《そもそも抜本的な選挙制度改革の議論が先であり基本なので削減されるかも分からないですが。議論される前から削減案が出る意味が分からない》
《普通選挙が始まってから人口は倍なのに議員定数はそのまま、人口を理由に減らす道理はありません》
現在、衆院議員の比例定数削減問題について、SNS上では2012年11月14日の民主党の野田佳彦首相(当時)と自民党の安倍晋三総裁(当時)による党首討論の内容がクローズアップされている。衆院議員の比例定数の大幅な削減を主張していた野田氏に対し、安倍氏はこう語っていた。
「私たちは自民党時代にも、たくさんの政党がいる。野田総理、たくさんの政党がいるんですよ。小選挙区だけであれば、今の状況でいけば、我が党の現職の議員は、多くがおそらく勝ち上がるんですよ。しかし、少数政党にとっては極めて不利になる。比例区の議員、これを一方的に減らしていく、これは少数政党にとって問題であるから、もっとちゃんと議論しようと言っているんです」
故・安倍元首相が14年前に語った言葉を、今の自民党執行部はどう受け止めているのだろうか。
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