厳しい表情で会見場を後にした玉木雄一郎氏(写真・長谷川 新)
10月29日午前、衆議院議員定数削減をめぐり、自民党、日本維新の会、国民民主党は、比例区のみで31削減する自民党の折衷案に正式に合意した。
政治部記者が解説する。
「国民民主は26日に比例のみの削減を受け入れたうえで19削減とする案を取りまとめたばかりでした。
しかし、自民は国民民主に31減案を飲ませるため、27日に複数の政党の比例候補を同一の比例名簿に掲載する『統一名簿方式』の導入と中国・四国ブロックの統合を折衷案に追加。
これは国民民主が主張していたものですから、自民としては、維新の顔を少しでも立てるため、45減は難しいにしても31減だけは通したかったのだと思います。国民民主の玉木雄一郎代表は、今年6月に比例のみ45削減案について『自民、維新に有利。事実上のゲリマンダー(特定の政党や候補者に有利になるような選挙制度)になる』などと批判していました」
自民と維新のみだと参議院では過半数に達していないが、国民民主が削減法案に賛成することで過半数に達するため、今国会での法案可決・成立の可能性が高まった。
しかし、自民の折衷案に合意した国民民主に対して、Xでは失望や批判が広がっている。
《言ってる事がコロコロ変わる全く信用できない国民民主党。さっさと与党入りした方が良いかと。》
《ずっと反対だったのは何?比例区減らしたら、少数政党は不利になるし、国民の声が届かなくなるのに、なぜ賛成ができるの?国民民主党、無理かも。》
《一体私たちは何を見せられてるのだろう?比例を削減すれば多様な声を拾う野党がいなくなり、自民党の独裁が続くだけ。こんな議論、国民は求めていない。》
定数削減について、直近で定数削減がおこなわれた2016年、衆議院議長の下に設けられた衆院選挙制度に関する調査会は「定数を削減する積極的な理由や理論的根拠は見出しがたい」と答申している。
「2026年5月に開かれた衆議院選挙制度に関する協議会で、有識者の1人として意見を述べた政策研究大学院大学の竹中治堅教授は具体的な数字をあげ、日本の衆議院議員の数は歴史的に見ても、世界的に見ても少ないと述べています。そして、維新が『身を切る改革』として持ち出してきた定数削減の主張に警鐘を鳴らしました」(前出・記者)
5月21日の協議会で、竹中教授は以下のように話していた。
《維新が言う、議員は特権階級だという位置づけには私は非常に違和感を持っておりまして、代表制民主主義で、議員の方々は国民の意見を国政に伝えるという重要な役割を担っているわけですね。その議員を削減するということは、国民の意見を国政に伝える経路が減ってしまうということです。数が多ければ多いほど、有権者の接触ポイントは多くなります》
と議員の位置づけに疑問を呈したうえで、維新の“身を切る改革”について
《この手法は、議員と国民あるいは市民の間に対立を生んで支持を拡大する一つの政治手法であることに注意すべきであると政治研究者としては考えております》
と訴えている。2026年2月の衆院選では、自民党が289ある小選挙区のうち、249選挙区で勝利。得票率は49.2%だったものの、議席占有率は86.2%と、民意が議席数に反映されているとは言い難い結果となった。その小選挙区に比べ、比例区はより民意を反映するとされる。
党首の変節を有権者はどう受け止めるだろうか。
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