阪神・淡路大震災で倒れた高速道路
1995年1月17日、午前5時46分。阪神・淡路地区をマグニチュード7.3の揺れが襲った。鉄筋が露出して倒れた高速道路、土台から崩れ落ちたビル。現地に向かった本誌取材陣は、目の前に広がる光景に言葉を失った。
それから31年、街は力強く復興を遂げていたーー。
「鳥居や社殿もみんな倒れて、地面にペシャッとなってしまいました……」
JR西宮駅から徒歩8分の場所にある津門神社の宮司は、当時を振り返った。神社は被災から10年後の2005年に再建することができた。
「神社に井戸があって、震災で水道が使えなくなったときも井戸水が出たので、近所の人たちが水を求めてたくさんやって来ていました。それで『あのとき神社の井戸水のおかげで助かった』と、そのお礼に寄付をしてくださる方が多かったんです」(宮司)
1964年開業の老舗で、時計台のデザインで知られるビアホール「ニューミュンヘン 神戸大使館」も、震災では4階建ての店舗が土台から傾くなど、甚大な被害を受けた。
だが、同店は翌1996年12月に新店舗ビルを建て、再オープンを果たした。
しかも、ただ “復活” したわけではない。
「店舗ビル再建と同時に『ビアホールとして神戸発の震災復興の願いをこめたオリジナルのビールを造ろう』と従業員一丸となって決意しました。
それで被災した店舗ビルの建て替えにあたり、地下に醸造所を併設しました。こうしてできたのが、看板の『大使館ビール』です」(ニューミュンヘン 神戸大使館・堂本拓郎店長)
麦芽100%の豊かな芳香と深いコクが特徴の「大使館ビール」は、店の時計台がデザインされたオリジナルグラスで提供される。グラスに描かれた時計が指す時刻は、「5時46分」だ。エントランスのタイル画やレジ横のステンドグラスなど、店舗内には震災のメモリアルとしてこの時刻がデザインされて刻まれている。
「3世代で来店されたお客様で、おじいちゃんがお孫さんに時計の針を指さして説明しているところを見かけます。『30年前に神戸で大きな地震があった時間なんやで』などと、お話しされているのだと思います。そんな姿を見ると、やってきたことに意味があったなと感じます。
絶対にあの震災は、風化させてはいけないと思っていますから」(同前)
写真・本誌写真部
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