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トランプ大統領“敗色濃厚”でも残り2年で“やりたい放題”の懸念…専門家が指摘する過激化リスク

社会・政治 記事投稿日:2026.10.31 15:31 最終更新日:2026.10.31 15:31

トランプ大統領“敗色濃厚”でも残り2年で“やりたい放題”の懸念…専門家が指摘する過激化リスク

中間選挙に向けてひたすら演説を繰り返すトランプ米大統領(写真・共同通信)

 

「トランプ敗北」——。11月3日、投開票がおこなわれる米中間選挙は、トランプ大統領率いる共和党が民主党に大敗、もしくは苦戦を強いられると予想されている。

 

「各種世論調査では上下両院、あるいは下院での過半数喪失の可能性が高まっていると報じられています。そのおもな要因としては、トランプ氏の支持率の歴史的な低迷があげられます。最新の世論調査でトランプ氏の支持率は34〜37%にまで落ち込んでいますが、これは2020年にトランプ氏が大統領選で敗れた際の支持率、43%よりも深刻な状況です。

 

 支持率が下がっている理由として、2026年2月から始まったイランとの戦闘によりガソリン価格が高騰するなど、経済への不満や、イランとの戦闘への反発があげられています。また、2024年大統領選でトランプ氏を支持したジョー・ローガン氏などの有力インフルエンサーが“トランプ離れ”を公言するなど、保守層の離反もトランプ氏への逆風となっています」(在米ジャーナリスト)

 

 敗色濃厚なトランプ氏だが、中間選挙に敗北したからといって、大統領の座を手放すわけではない。現在2期めのトランプ氏の大統領としての任期は、2029年1月まで。憲法により、大統領の職は「通算2期まで」と決められているため、任期はあと2年あまりということになる。中間選挙敗北後、残された任期で“トランプ流”に変化はみられるのか。

 

「何も変わらないと思います」と言い切るのは、上智大学の前嶋和弘教授(専門は現代アメリカ政治外交)だ。

 

「なぜなら、議会との関係はすでにレームダック(死に体)だからです。というのも、下院では共和党が218議席に対し、民主党は214議席とわずか4議席差、上院は共和党53議席に対し、民主党は47議席(統一会派の無党派2人を含む)と、6議席差。いずれも少数与党に近い拮抗状態です。1930年代に1議席差という例はありますが、それを除けば史上もっとも議席数が接近しているのです。アメリカでは議会の力が強く、従来の大統領の場合は議会がルールを作って、それを行政に落とし込むやり方が普通です。与野党の議席が僅差だと議会を動かせず、レームダックにならざるを得ないのです」

 

 しかしトランプ氏に、そういう“常識”は通じない。

 

「勝手に大昔の法律を持ってきたり、憲法上の権限だと言って根拠法にしたりして、トランプ氏は議会を無視した大統領令を連発してきました。だから、選挙で負けて、本来であればレームダックになるはずだとしても、トランプ氏はいままでどおりで、変わるはずがないのです」

 

 これまで、やりたい放題だったトランプ氏。それは今後の2年間でも基本的には変わらないと、前嶋教授はみている。

 

「これまでトランプ氏が何をやってきたかといえば、2024年の大統領選挙の公約をひとつひとつ実行してきたわけです。それは移民狩りであり、関税政策であり、ベネズエラへの攻撃であり、イランへの軍事的強硬策です。9月の国連総会では、グリーンランドに米軍が駐留する新防衛協定に署名しましたが、トランプ氏はグリーンランドはアメリカのものだと思っているでしょう。NATOからの脱退を宣言していましたが、脱退はしていなくてもヨーロッパ諸国に相当な軍事費の負担を押し付けています。こうしたトランプ流の強硬姿勢は今後も変わることがないでしょう。関税・移民・対外軍事政策などで、大統領令や行政権限を使った、さらに過激な政策をすすめる可能性があります」

 

 そして、トランプ氏の公約で実行できずに残っている地域が、東アジアだ。

 

「トランプ氏は、北朝鮮と対話を進めると言いながら核保有を認めるかもしれません。これにより核のバランスが大きく崩れることになります。一方で、在日、在韓の駐留米軍を部分的に縮小しつつ、日本や韓国にさらなる軍事費負担を求めてくるでしょう。日本にとっても、困った事態です」(前嶋教授)

 

 米国の中間選挙に先立って、10月27日に投開票されたのがイスラエルの総選挙だ。開票率99%の段階で、ネタニヤフ首相が率いる与党右派の「リクード」が、定数120のうち26議席を獲得し、第1党を維持した。しかし、与野党ともに過半数の61議席に届かず、新政権樹立に向けた連立工作は難航するとみられている。

 

「ネタニヤフ政権にとって最大の問題は、2023年のイスラム組織『ハマス』による大規模なテロでした。安全保障を重んじるネタニヤフ首相への不満が、リクードへの票を減らしたおもな原因です。リクードは過半数を獲得できず、連立しなければならなくなりましたが、連立交渉次第ではありますが、ネタニヤフ氏が退陣する可能性は大きくはないとみえます。それは、トランプ氏にとってネタニヤフ氏の勝利です。一時的な停戦はあっても、アメリカは今後も対イラン戦争を続けていくでしょう」(前嶋教授)

 

 国際ジャーナリストの山田敏弘氏によれば、2年という任期の区切りがあっても、外交は依然としてトランプ氏が担っていく可能性が高いという。

 

「中間選挙で上下両院とも議会で負けたとしても、戦争以外の外交に関しては大統領の専権事項です。つまり、議会の承認を得ずに何でもやりたい放題にできるということです。

 

 トランプ氏が戦争や外交に関与する目的のひとつは、トランプ一族の私利私欲のためでもあると疑われています。娘婿のクシュナー氏を中東に送っているのも、海外での権益を維持しつつ、大統領を辞めた後でもビジネスにつながっていくようなプロジェクトの話をつけてきているとも言われています。北朝鮮に関与するのも、ほとんど何も開発されていないフロンティアである北朝鮮を、ビジネスの権益にしようとしているという見方もあります。あと2年と区切られることで、そういうビジネスに拍車がかかる可能性があります」

 

 さらに前嶋教授によれば、中間選挙で共和党が善戦する可能性もゼロではないという。

 

「世論調査では“トランプ危うし”という結果が出ています。ただし、世論調査がそのまま選挙に反映されるとは限りません。世論調査に答える人は、積極的に選挙に行く人たちで、トランプ氏の熱烈な支持者の声が反映されていないのです。こうした支持層がどんどん選挙に行けば、結果は変わってくるかもしれません。トランプ氏の支持率は全体では30%台ですが、コアな支持層では85%に達しています。彼らが選挙に行くかどうかで結果は変わってくる可能性もあるのです」

 

 あと2年の大暴れ。巻き込まれる同盟国にとってはたまったものではない——。

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出典元: SmartFLASH

著者: 『FLASH』編集部

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