10月22日、「週刊文春」を名誉毀損で提訴した片山さつき地方創生担当大臣。事の発端は、18日発売の同誌が、片山氏の国税庁に対する口利き疑惑を報道したこと。
記事によれば、2015年、長野市の会社に税務調査が入り、青色申告の承認が取り消されそうになった。青色申告が取り消されると、税務上の特典が受けられなくなり、会社には痛手となる。
そこで、同社社長が片山事務所に相談すると、私設秘書で税理士だった南村博治氏を紹介され、口利きを承諾される。社長は着手金100万円を振り込むが、結局、青色申告は取り消されてしまったという。
口利きが事実なら「あっせん利得処罰法」違反となるが、激怒した片山氏は、文春の記事を全面的に否定。
「非常に事実誤認かつ不正確な内容が掲載されたことはたいへん残念。政治家としての社会的評価が著しくおとしめられているので、可及的速やかに名誉毀損で訴える」と、同誌発売日に会見で語り、わずか4日後に提訴する早業を見せた。
収まらないのが「週刊文春」側だ。
片山氏は会見で「100万円については関知しない」と語っているが、10月25日発売号では、片山氏と社長が直接やり取りしていたことを報道。
「(片山氏が社長に)『じゃあお金を返せば、それでいいんですか』などとやり取りしていました」という事務所関係者の証言を掲載している。
しかも、「週刊文春」と同じ発売日の「週刊新潮」も参戦。
この社長以外にも、大阪の大手パチンコ業者が銀行の融資を受けられるよう、片山氏が財務省に口利き電話をかけたと報道しているのだ。結果的には、こちらの融資も実施されなかったという。
安倍改造内閣で紅一点の、しかも待望の初大臣になって喜んだのもつかの間、「文春砲」と「新潮砲」の二面攻撃にさらされた片山氏。いきなり前途多難な船出になってしまったようだ。