「『日本国紀』を書いた後、韓国大法院で元『徴用工』と名乗る原告による、日本企業への損害賠償請求が立て続けに認められました。11月21日には『従軍慰安婦』問題に関する『和解・癒やし財団』が解散し、日本が支払った10億円が宙に浮いています。
そもそもこれらの問題は、1965年に日本が韓国と結んだ日韓基本条約ですべて解決しているんです。条約締結時に、日本は当時の韓国の国家予算の2.3倍にあたる『経済協力金』を支払いました。
日韓併合時代の朝鮮人個人に対する補償についても『韓国政府がおこなうから、日本はその金も含めて一括して支払え』と韓国政府に言われたんです。
でも韓国政府は、自国民に個人補償をしなかった。私の主張はただひと言、『韓国の妄言につき合う必要はない』ということに尽きます。歴代の政府は、それに耳を貸してきたからダメなんです」
■アメリカに対する複雑な思い
「アメリカに対しては、複雑な思いがあります。日本はアメリカに大東亜戦争を仕掛けたことになっていますが、あれはアメリカに戦争に追い込まれた面があります。
そして原爆投下や東京大空襲は、いまだに許し難い、鬼畜のおこないだと思っています。しかし、その恨みを今晴らすことに意味はない。大事なのは、現在と未来です。
日本とアメリカは戦後、同盟国としてやってきました。国防、安全保障という点に関して言えば、やっぱりアメリカに頼らざるを得ないのです。だから、複雑な思いがある。
戦後、アメリカは日本国民に『ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム』を通し、戦争に対する罪の意識を植え付けました。
実は戦後のGHQには共産主義者がかなりいたんですね。彼らが 日本を共産主義化しようとしていた形跡もあります。
彼らは東京裁判、出版物の検閲、NHKのラジオ番組『眞相はかうだ』などで、徹底的に日本人の精神を破壊したんです。
これが今にいたるまで、日本のいちばん大きな病巣になっています。本来の日本を取り戻すには、これを断ち切らなくてはいけない」
■左翼の噓に気づき始めた人たち
「同時に、それを受け入れてしまった日本に対する、忸怩たる思いもあります。公職追放は20万人に及び、GHQに都合の悪い書籍7000冊が焚書されました。
GHQの限られた人員で、できるわけがないんです。日本人の協力者がいたんです。そうした裏切り者たちが、学者として戦後日本の思想史を築いてきたんです。
幸い、若い世代には、左翼の噓に気づき、GHQの洗脳から抜け出しつつある人が増えています。
新しい時代に日本が復活するためには、GHQに植え付けられた戦後の自虐思想を払拭すること、そして民族としての誇りを取り戻すこと。そうすれば必ず復活できる。私が『日本国紀』で書きたかったのはそこなんです」
ひゃくたなおき
1956年、大阪市生まれ 2006年、『永遠の0』で作家デビュー。2013年に『海賊とよばれた男』で第10回本屋大賞受賞
(週刊FLASH 2019年1月1、8、15日合併号)