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「カルロス・ゴーンはマネロンのプロ」と山口組系の元組長

社会・政治 投稿日:2019.01.25 06:00FLASH編集部

「カルロス・ゴーンはマネロンのプロ」と山口組系の元組長

 

 現在は投資家や作家として活躍している、かつては暴力団の組長だった「猫組長」こと菅原潮氏(54)が、カルロス・ゴーン容疑者をこう断じる。

 

「ゴーンは極悪人といっていい。半端ないですよ。こんな経営者は見たことがない。マネーロンダリングのプロです。この事件は平成最大の経済事件、『第2のイトマン事件』といっていいでしょうね」

 

 菅原氏は、最先端の経済ヤクザとして、数百億円単位のカネを動かしてきた。特に中東のオイルマネーのマネーロンダリングで暗躍し、「日本でのマネロンの第1人者は私」と言ってはばからない。

 

 

 そんな菅原氏が、ゴーン被告の錬金術を見て驚愕したという。

 

「ゴーンは、新生銀行から10億円の追加担保を求められ、知人でサウジアラビアの実業家であるハリド・ジュファリ氏に、30億円の信用状『スタンドバイL/C』(以下SBLC)を差し入れてもらった。

 

 SBLCは、マネロンによく用いられるもの。本来、なんのお金かわからないから、日本の銀行は受け取らないことが多い。

 

 ゴーンが受け取ったSBLCは、1年間は保証が効き、転用が可能で、いわば30億円分の担保を入れてもらったようなもの。だからゴーンは、ジュファリ氏に対し、30億円まではなんらかのカネを送るつもりだったのでしょう」

 

 リーマン・ショックの影響によりゴーン被告は、新生銀行との間でおこなっていた通貨デリバティブ(金融派生商品)の取引で、18億5000万円の評価損を出してしまう。

 

 その権利を日産に付け替えたうえで、ジュファリ氏からSBLCを差し入れてもらった。だが、結局30億円は担保として取られることはなかった。

 

「通常、SBLCを発行してもらうと、発行元にリース料として金額の約10パーセントを払う。ゴーンの場合、リース料は約3億円かかる。しかも、ゴーンはジュファリ氏に、16億円をいろんな名目で払った。つまり、日産に対して巨額の損失を与えているのです。

 

 また、大損するかもしれないデリバティブを、その時点で日産に付け替えている。十分特別背任は成立する事件です」

 

 ジュファリ氏は、サウジの中央銀行であり、かつ銀行を監督するサウジアラビア通貨庁の理事会メンバー。金融取引を監視する立場にある。

 

「僕らがSBLCを使ってサウジ経由でカネを動かす際には、審査を受けます。だいたい動かす額の2パーセントを賄賂として払うと、カネを動かせる。でもジュファリ氏は監視する立場。彼に通じれば、審査は素通りで賄賂も要らないというわけです」

 

 菅原氏の現在の資産は、100億円を超える。だが、海外の銀行に預けてあるそのカネは、引き出すことが難しいという。「1万ドルを移動させようとしてもすぐにチェックが入る」というのだ。

 

「以前、カタールからロンドンのヒースロー空港に入ったとき、『パレルモ条約違反』と言われて捕まった。同条約は、国際的な組織犯罪を取り締まるもの。

 

 僕を調べたのは、米国のFBIやCIA。結局このときは『関与は薄い』と言われて釈放されましたが……米国は怖い。何をするかわからない」

 

 ゴーン被告は逮捕直後、日本で弁護活動がおこなえないにもかかわらず、米国の著名な法律事務所と契約。弁護活動の内容は不明なままだ。菅原氏は、その点に注目する。

 

「米国はテロ資金の流れを追うため、マネーロンダリングに対してピリピリしているんです。だから、中東のドル建て債券や証券などを常に監視しているわけです。当然僕らも監視されています。

 

 日産はADR(米預託証券)をニューヨークで上場させており、今回の事件でSEC(証券取引委員会)やFRB(連邦準備制度理事会)が調査に乗り出すことを懸念して、弁護士を雇ったはず。まさにマネロン対策ですよ。

 

 むしろ、米当局のほうが日産より先に、異常な取引を摑んでいたのかもしれません。米国が動けば、日産はひとたまりもないわけで、やむなく日本国内で告発せざるを得なかったのでしょう」

 

 菅原氏は、ゴーン被告と取引していた新生銀行の対応にも疑問を持ったという。

 

「日本でSBLCを扱える銀行は、外国証券部がしっかりしている大手2行ぐらい。銀行の人が僕にレクチャーを求めてくるくらいですから(笑)。だから新生銀行側も、おかしいと思わなかったはずはないわけ。責任は重いといえます」

 

 1月18日、ゴーン被告がオマーンの日産販売代理店のオーナーから私的に33億円を借り、その後日産の子会社から 38億円を同代理店に送金させていたことも発覚。

 

 ゴーン被告の「日産私物化」の全貌は、まだ深い闇の中だ。

 


猫組長/菅原潮
ねこくみちょう/すがわらうしお
兵庫県神戸市生まれ。元山口組二次団体組長。大学中退後に極道の世界に入り、インサイダー取引や国際的な石油取引に関わってきた

 

(週刊FLASH 2019年2月5日号)

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