社会・政治
「平昌オリンピック」開催地域が5年で大幅人口減、その原因は?
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2019.03.01 06:00 最終更新日:2019.03.01 06:00
日本が冬季オリンピック史上最多13個のメダル獲得や「南北統一コリア」などの話題で大きな注目を集めた「平昌オリンピック」。
昨年2月1日に開幕し、2月25日に閉幕した冬の祭典が、先日、閉幕から1年を迎えた。そんな日に平昌には悲しいニュースが流れた――。
韓国メディア「江陵ニュース」2月25日の報道によると、2024年には五輪が開催された平昌郡や江陵市を含む地域「江原道」の学生と学校が大幅に減少するというのだ。
江原研究院の発表によると、韓国全域と比較して江原道では5年以内に2万3000人の学生が減少、170カ所以上の学校が消滅するという。
五輪開催から早6年で、歴史的イベントが開催された地域が、大規模な「地方消滅」危機に瀕する。
「まあ、あの地域では無理もないでしょう」
こう話すのは、五輪当時現地で取材をしたある記者だ。彼が続ける。
「雪もそれほど降らず、気温も低くてマイナス10度ほどですが、風が強すぎる。五輪のときも毎日、台風のような風が吹いて、体感温度はマイナス20度からマイナス30度なんて言われていました。
そんな環境で何よりも気になったのが、“揺れ” です。メディアや選手が宿泊した施設は30階建てほどのマンション。それが風によって揺れるんです。日本のビルと違って、かなり細身の造りなので怖かったですね。いまは民間に分譲されて一般住民が暮らしているそうですよ」
2月1日からツアーバスの無料運営を実施するなど、観光客の呼びこみに躍起になっているオリンピックの旧会場地域。だが、五輪のレガシーは負の遺産として大きくのしかかっている。
「もぐもぐタイム」が日本中を席巻したカーリングの会場は現在、一般人もカーリング体験をおこなえる施設になり、フィギュアスケートやショートトラックがおこなわれた「江陵アイスアリーナ」は、コンサート会場として利用されている。
だが、スピードスケートの会場やアイスホッケーの会場では、年間20億ウォン(約2億円)ほどの運営費がかかるとみられ、活用法が見つからない状態だ。
スピードスケート会場は「冷凍倉庫として使用したい」という提案さえあったという。「Passion.Connected.(ひとつになった情熱)」のテーマで開催されたオリンピックだったが、情熱を保つのは難しいようだ。