社会・政治
シャープを買収した「ホンハイ」快進撃を支える謎の「銭ママ」
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2016.04.05 17:45 最終更新日:2016.04.21 14:04
4月2日、堺市の液晶工場で、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業によるシャープ買収の契約が調印された。
当初、総額4890億円とされた買収額は、契約直前にシャープが巨額の「偶発債務」(将来の債務リスク)を伝えたことで、3888億円まで値切られた。
ホンハイの郭台銘会長が「シャープの100年超の歴史、技術革新のリーダーとして果たしてきた役割を尊敬する」と笑顔で会見した後方に、一人の女性がいた。ホンハイの金庫番、社員からは「銭ママ」と呼ばれている黄秋蓮だ。
「黄秋蓮は40年来の古参幹部の1人で、2005年に死去した郭氏の前妻の叔母にあたります。町工場時代からの金庫番で、夫の游象富とともに、会社にとって最重要の夫婦です。
ホンハイが30年ぐらい前、すごく苦しくなったとき、夫婦の親族がお金を貸して危機を乗り越えたこともあったらしい。それで、いまでは、夫婦合わせると郭台銘に次ぐ第2位の個人株主になっています」
こう話すのは、郭氏に20時間以上インタビューしているTMR台北科技の大槻智洋氏。
黄秋蓮は大方針に口を出すことはないが、いざお金を使うときに、細かい調整をしたり、価格交渉で一度差し戻したりと、細かい実務を担当しているのだという。
産経新聞北京総局の矢板明夫氏もこう話す。
「黄秋連は郭会長から絶大な信頼を得ており、彼女がグループで使うカネを、1元単位まで全部管理していると言われます。ホンハイは企業買収をやったり、子会社に出資したりで、お金の流れが複雑です。それをすべて把握しているのは彼女だけだという話です」
郭台銘がOKした出費が、黄秋連に拒否されて、プロジェクトが中止になったこともあるという。
この「銭ママ」こそが、快進撃を続けるホンハイの秘密なのだ。