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ノートルダム大聖堂の復興寄付にフランス庶民が大反発社会・政治 2019.04.23

写真:AP/アフロ

 

 フランス訪問中の安倍首相は、日本時間4月23日、マクロン大統領と会談し、火事で焼けたノートルダム大聖堂の再建に向け、日本政府として最大限の協力をすると発表した。

 

 4月16日に起きた大火災を受け、マクロン大統領は「5年以内の再建をめざす」と表明、その声に応え、次々と寄付が集まってきた。

 

 

 まず最初に、グッチやサン・ローランなどのブランドを持つ「ケリング」のオーナー家が1億ユーロ(126億円)の寄付を表明。続いて、ルイ・ヴィトンやクリスチャン・ディオールを持つLVMHグループが2億ユーロ(252億円)、さらにロレアルグループが2億ユーロの寄付を発表。現在、寄付金総額は1000億円を超えたとされている。

 

 当初、歓迎された大口の寄付だが、時間がたつにつれ、批判の声も大きくなってきた。

 

 フランスでは、燃料税増税に端を発し、低所得者への財政的支援を求めた「黄色いベスト運動」がいまだ盛んで、セレブ達の寄付に対して「人間より石が優先されるのか」と反発する声が相次いでいる。

 

 特に問題なのが、フランスでは13万円(1000ユーロ)までの寄付に対して75%、それ以上の寄付に対して66%の減税を受けられる点。これが「税金逃れ」に当たるのではないか、との声が噴出したのだ。

 

 ちなみに、ブルームバーグの「世界の大富豪ランキング」によれば、LVMHグループのベルナール・アルノー会長の資産は10兆円、 ロレアル創業者の孫娘の資産は6兆円、ケリング会長の資産は4兆円だ。いずれも、資産の1%も寄付していないことになる。

 

 億万長者が多いフランスでは、高所得者に高い所得税をかけられないか、長年、議論が続いてきた。

 

 現在は所得税の最高税率は45%だが、2012年にオランド大統領が75%を主張するも裁判所が却下。2017年の大統領選では、左翼のメランション候補が、およそ5000万円以上の所得に対して100%の税金(=全没収)を導入せよとも主張している。

 

 とはいえ、税金が高いと、金持ちは国を捨てて逃げてしまう。やや古いデータだが、『ニューワールドウェルス』の調査では、2015年に1万人、2016年に1万2000人の大富豪がフランスを去ったとされている。マクロン大統領の金持ち優遇策も、ある意味仕方がないと言えるのだ。

 

 ノートルダム再建問題は、はからずもフランスの格差社会の現実を浮かび上がらせた。

 

 パリでは20日にも「黄色いベスト運動」のデモが警官隊と衝突している。デモ隊の持つプラカードには「すべてがノートルダムに捧げられ、貧しい人達には何も捧げられない」と書かれていた――。

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