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日本国憲法誕生の裏にあった抵抗文書「ジープウェイ・レター」社会・政治 2019.05.03

ジープウェイ・レター(国会図書館HPより)

 

 日本国憲法は、1947年5月3日の施行から72年を迎えた。安倍首相は2020年の憲法改正に意欲を示しているが、その道筋はハッキリとは見えないままだ。

 

 改憲を望む人たちが、しばしば理由にあげるのが、「日本国憲法はアメリカからの押しつけ」というもの。実際、占領軍と憲法の内容について交渉にあたった白洲次郎は、後にエッセイでこう書いている。

 

「この憲法は占領軍によって強制されたものであると明示すべきであった」(『プリンシプルのない日本』)

 

 

 いったい、日本国憲法はどのように制定されたのか。そこには、「日本のことは日本人が決める」という白洲と、それを煙たく思う占領軍の隠された攻防戦があった。

 

 白洲次郎は、兵庫県芦屋の裕福な家に生まれ、17歳で英国ケンブリッジ大学に留学。英国仕込みのキングス・イングリッシュと高い教養を身につけ、帰国後は英字新聞記者などで活躍。留学時代に培った人脈を生かしてしばしば海外にも出かけた。

 

 駐英大使だった吉田茂と知り合い、それが縁で内閣のブレーンに加わる。終戦後は、43歳で「終戦連絡中央事務局」に参画し、占領の全期間にわたって交渉にあたった。

 

 ケンブリッジ仕込みの英語で占領軍と対等に渡り合った白洲は、アメリカ側から「従順ならざる唯一の日本人」と怖れられた。たとえばこんなエピソードがある。

 

 民政局のホイットニーが初対面の白洲に「あなたは英語がうまい」とほめたときのことだ。白洲は「キミも少し勉強すれば、もっと英語がうまくなるさ」と答えた。田舎者のアメリカ人をバカにしたのだ。

 

 そんな白洲が、新憲法制定に際して重要な役割を果たした。

 

 日本に進駐してきたマッカーサーは、1945年10月11日に幣原首相と会談し、憲法改正を示唆。日本政府はマッカーサーの指令を受けて改正案の作成に着手する。

 

 松本烝治が提出した「松本私案」は、天皇が軍の最高指揮権を持つとしており、占領軍はこれを軽く一蹴する。翌年2月13日、占領軍はわずか1週間で作られた「マッカーサー草案」を突然提示してきた。結局、この草案が日本国憲法の素案となる。

 

 このとき白洲は、アメリカ側の一方的な憲法草案の押しつけに抵抗し、ホイットニーに宛てて抗議の私信を送っている。それが「ジープウェイ・レター」といわれるものだ。

 

「アメリカと日本は、同じ目的地を目指しています。でも、選ぶ道が大きく違う。アメリカは直線的に進むが、日本は、回り道で曲がりくねった狭い道をたどるのです。アメリカの道はエアウェイ(航空路)といえるでしょう。でも日本の道はジープウェイ(道路)なのです」

 

 白洲は、この手紙で「急激な改革は極端な反動を招く。日本には日本のやり方がある」と主張したのだが、結局、この意見も一蹴されてしまう。

 

 占領軍の態度は厳しさを増していき、ホイットニーは日本側に、草案の全文を一晩で日本語に翻訳するよう要求した。


 この翻訳がいかに拙速だったかを示すエピソードがある。

 

 マッカーサー草案では、天皇の地位を「シンボル・オブ・ステーツ」と規定していた。「シンボル」の翻訳に迷った白洲は、英和辞典を引いて、もともとは哲学用語だった「象徴」という聞き慣れない日本語をあてることにした。日本国憲法で最も重要な「象徴」という言葉は、一冊の辞書にたまたま載っていた言葉が採用されただけなのだ。

 

 2月22日、日本政府は草案を基に日本案を作ることを閣議決定。天皇の裁可も下りた。そして3月6日、憲法改正草案要綱を公表する。象徴天皇制、戦争放棄といった日本国憲法の原像はこうして決まった。

 

 白洲の娘婿である牧山圭男氏がかつて本誌の取材に答えている。

 

「白洲は『敗戦国として屈辱を味わわされたので、憲法制定当時のことは思い出したくない』と言っていました。そして、『憲法のどこをどう直すかではなくて、独立を勝ち得た日本にとってふさわしい憲法かどうかを考えなければならない』と語っていました」

 

 白洲の任務は常に命がけだった。牧山氏によれば、白洲はこんな言葉を漏らしたことがあるという。「まさかとは思うが、もしかしたら占領軍に殺されるかもしれない」。ギリギリの葛藤のなかで、日本国憲法は生まれたのだ。

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