社会・政治
セブン-イレブンの父「鈴木敏文会長」が重ねた迷走行動
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2016.04.13 06:00 最終更新日:2016.04.14 15:29
「声が小さく、マイクの出力も弱く、『大きな声で話してください』と、何度も声が上がっていた」(経済誌記者)
7日、都内で開かれたセブン&アイホールディングス2月期決算発表会は、急遽、鈴木敏文会長(83歳)の退任会見となった。1時間あまりの会見の半ば、憔悴気味の鈴木会長の声がひと際大きくなった。
「お恥ずかしくて申し上げられないけれど、獅子身中の虫(社内から損害を与える者)がおりまして、いろいろなことを外部に漏らしていた」
30歳でイトーヨーカ堂に中途入社。その後、24年にわたり巨大流通グループを率いてきた鈴木会長。その長期政権は、なぜ終幕を迎えたのか。
「セブン−イレブン・ジャパンの井阪隆一社長(58歳)に対し、鈴木会長が退任を求めた。ところが、取締役会で過半数を得られず、否決されてしまったのです。その責任を取った形ですが、ずいぶんあけすけな会見だったので、驚きました」(全国紙経済部記者)
鈴木会長は「井阪氏は自分の指示に従ってきただけで、ほとんど改革案を出さなかった」と主張。井阪氏が「まだマンションの支払いを続けている」と訴えてきたことまで暴露した。
そんな鈴木会長だが、2009年に井阪氏をグループ最年少で中核企業のセブン−イレブン・ジャパン社長に抜擢した際には、「将来にわたって井阪を育てる」と公言していた。
しかし、過去にも多くの“後継候補”が社を去っている。今年1月にはイトーヨーカ堂社長の戸井和久氏が、在任わずか1年8カ月で退任している。ジャーナリストの須田慎一郎氏が言う。
「1992年、創業家の伊藤雅俊名誉会長(91歳)に代わってイトーヨーカ堂社長に就任して以来、鈴木氏は周囲をイエスマンで固め、誰も反対できない“鈴木王国”を作り上げてきました」
今回の井阪氏の退任案も、鈴木会長にとってはいつもの人事権発動だったのかもしれない。しかし、3月下旬に開かれた指名報酬委員会では意見がまとまらず、大株主である伊藤氏や米ファンド「サード・ポイント」も反対を表明。結論は取締役会に持ち越され、反対票が上回った。ある幹部社員が否決の背景を証言する。
「最近の鈴木会長の言動には疑問をもっていました。突然主要な提携先である大手商社との取引を半減させると言い出し、相手方が激怒するといったことがありました」
さらに2015年、所有するセブン&アイホールディングス株のうち約23万株を売却した。
「証券会社は『一度に売ると市場が混乱する』と反対。それでも、取締役会の了承をえず、鈴木氏は売却を強行。10億円超を手にしました。今年もさらに売ろうとしましたが、証券会社に全力で阻止されました」(同)
3年ほど前からこのような混乱が顕著に。パワハラや女性関係を糾弾する怪文書が出回り、鈴木会長派閥の取締役や執行役員が退任、降格に至ることもあった。
“セブン−イレブンの父”鈴木会長の晩節は「ずっと夢を見て 安心してた(同社CMソング)」とはいかなかったようだ。
(週刊FLASH 2016年4月26日号)