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電波妨害に特殊部隊…トランプ大統領の車列34台を完全解説(2)

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2019.05.28 11:01 最終更新日:2022.05.25 13:22

 5月25日、令和初の国賓として来日したアメリカ合衆国のトランプ大統領夫妻。大統領が訪れる関係先周辺は、警視庁最高レベルの厳戒態勢が敷かれていた。

 

 大統領が乗車するリムジンは、防弾仕様は当然のこと、ミサイルが直撃しても、その爆発力に耐えうる構造になっている。そのため、ドアは広辞苑より厚く、20センチを超えるといわれている。実際のところ、どんな攻撃をうけようとも無事だというのが本当のところなのだ。

 

 この世界最強の車はビースト(野獣)と呼ばれる。前後を警護するのは、アメリカ合衆国シークレットサービスの警護車だ。

 

 このシークレットサービスは、国土安全保障省傘下の警察機関で、大統領の警護・警備が主な任務の1つになる。シークレットサービスのベース車は、多くがシボレー・サバーバンを使用している。これは有事の際に車両を動く壁として利用できるからだ。

 

 車列にはM4カービンと呼ばれる自動小銃を構えた屈強な護衛官が乗務する車両や、電子戦に備えた広帯域のジャミングをかける車両、軍事衛星を利用して各種通信を確保する車両など、各種最新鋭の装備を搭載した特殊車両が連なる。

 

 車列は30台超。車列の長さも100メートルを優に超える長いものになる。まさに世界最強の車列軍団と言うにふさわしい。

 

 来日直後の移動時の車列構成は以下の通り。

 

パトカー、白バイ×8、パトカー、警護車(警視庁)、大統領専用車(ダミー)、大統領専用車、警護車(警視庁)×2、シークレットサービス(突発事案対応要員車)、シークレットサービス(電子戦対応車)、シークレットサービス(通信車)、米国大使館車両、シボレー警護車(警視庁)、米国・ホワイトハウス関係要員車、米国大使専用車両、シークレットサービス、シークレットサービス(救急車兼多目的車)、スタッフ遂行車×2、ホワイトハウスコミュニケーションズエージェンシーロードランナー(衛星通信車)、スタッフ遂行車×3、シークレットサービス×3、スタッフ遂行車、外務省スタッフ車×2、警護車(警視庁)、パトカー×1、米国報道陣×3、ゲリラ対策車×1

 

 以下、具体的に見てみよう。

 

電波妨害に特殊部隊…トランプ大統領の車列34台を完全解説(2)

(8)米国・シークレットサービス(突発事案対応車)

 

 サバーバンの車両で、米国内や国内情勢が不安定な海外ではリアハッチを開けたまま走行する。突発事案に対応するため、車内にはCATと呼ばれる対攻撃チームが乗車する。

 

 このサバーバンは大統領専用車の後方を走行し、リアハッチからは自動小銃を構えたシークレットサービス警護官が即時対応できる状態でスタンバイしている。銃口は走行する道路へ向けられているところが恐ろしい。銃社会アメリカならではの光景だ。大統領専用車に石でも投げようものなら銃撃される恐れも……。

 

 車内には運転手を含め6名のシークレットサービス警護官が乗務しており、そのうちリアハッチに乗務する2名が自動小銃を装備している。大統領が緊急退避を余儀なくされた場合、この突発事案対応車が緊急走行で随行して大統領を護衛する体制をとるようだ。

 

(9)米国・電子戦対応車

 

 ルーフに取り付けられた2個の厚いアンテナが、広帯域で電波妨害を行い、即席爆発装置(IED)による攻撃やミサイル攻撃を無力化するためのアンテナになる。

 

 車両後部には約1000ワットを放出できるジェネレータが搭載されているほか、ルーフのドーム状の物体は、空中目標を特定するための赤外線カメラや、狙撃兵を検出するシステムも搭載している。

 

 この車両が通過する際には携帯電話の電波が一時的に遮断され、ワイヤレスマイクなどの電波も使えなくなってしまう。

 

(10)米国シークレットサービス(防弾車)・通信系車両

(11)在日米国大使館(防弾車)・詳細用途不明

 

 フロントガラスに「Lead」と書かれた紙が確認できることから、車列の案内などをおこなう車両と思われる。

 

(12)日本・警護車(防弾仕様)・警視庁


 特殊部隊が乗車。シボレー・エクスプレスを使用している。

 

(13)〜(17)はこちら

 

写真・小田創

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