電波妨害に特殊部隊…トランプ大統領の車列34台を完全解説（3）

　5月25日、令和初の国賓として来日したアメリカ合衆国のトランプ大統領夫妻。大統領が訪れる関係先周辺は、警視庁最高レベルの厳戒態勢が敷かれていた。

 

　大統領が乗車するリムジンは、防弾仕様は当然のこと、ミサイルが直撃しても、その爆発力に耐えうる構造になっている。そのため、ドアは広辞苑より厚く、20センチを超えるといわれている。実際のところ、どんな攻撃をうけようとも無事だというのが本当のところなのだ。

 

　この世界最強の車はビースト（野獣）と呼ばれる。前後を警護するのは、アメリカ合衆国シークレットサービスの警護車だ。

 

　このシークレットサービスは、国土安全保障省傘下の警察機関で、大統領の警護・警備が主な任務の1つになる。シークレットサービスのベース車は、多くがシボレー・サバーバンを使用している。これは有事の際に車両を動く壁として利用できるからだ。

 

　車列にはM4カービンと呼ばれる自動小銃を構えた屈強な護衛官が乗務する車両や、電子戦に備えた広帯域のジャミングをかける車両、軍事衛星を利用して各種通信を確保する車両など、各種最新鋭の装備を搭載した特殊車両が連なる。

 

　車列は30台超。車列の長さも100メートルを優に超える長いものになる。まさに世界最強の車列軍団と言うにふさわしい。

 

　来日直後の移動時の車列構成は以下の通り。

 

パトカー、白バイ×8、パトカー、警護車（警視庁）、大統領専用車（ダミー）、大統領専用車、警護車（警視庁）×2、シークレットサービス（突発事案対応要員車）、シークレットサービス（電子戦対応車）、シークレットサービス（通信車）、米国大使館車両、シボレー警護車（警視庁）、米国・ホワイトハウス関係要員車、米国大使専用車両、シークレットサービス、シークレットサービス（救急車兼多目的車)、スタッフ遂行車×2、ホワイトハウスコミュニケーションズエージェンシーロードランナー（衛星通信車）、スタッフ遂行車×3、シークレットサービス×3、スタッフ遂行車、外務省スタッフ車×2、警護車（警視庁）、パトカー×1、米国報道陣×3、ゲリラ対策車×1

 

　以下、具体的に見てみよう。

 

　フロントガラスにホワイトハウスのマークが貼られていることから、ホワイトハウスの職員、もしくはシークレットサービスの一部が乗っているのかもしれない。

 

 

　ウィリアム・F・ハガティ駐日米国大使の専用車

 

 
　一見すると外国の救急車を彷彿させる形状だが、車両後部には防弾ヘルメットに自動小銃（M4カービン）、真っ黒な戦闘服を身につけた4～6名の武装シークレットサービス警護官が乗務している。

 

　突発事案発生の際には車内から降車し、武力制圧を行うための車両になる。

 

　また、車内には後部は救急車としての機能も果たし、「Tactical suppout unit」と呼ばれているようだ。十数年前までは、同車には救急車のペイントが施されていたが、今は真っ黒な塗色に変更され、コンバット色を前面に押し出したという感じだ

 

　屋根に米国シークレットサービスのアンテナが装備されていることから無線機が搭載されていることは明らか。

 

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写真・小田創