社会・政治
テレビ・スポーツ中継これが原価だ(3)ラグビー、フィギュア、野球
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2016.05.07 12:00 最終更新日:2017.02.11 04:33
●ラグビー
大番狂わせで一気に注目を集めた2015年のラグビーW杯。だが、その試合は地上波で生中継されていなかったことをご存じだろうか。
9月19日(土)深夜の日本代表初戦の放映権を持っていた日テレは生中継せず、翌日13時過ぎからの録画ダイジェストとしたのだ。
「それだけ日テレも期待していなかったということ。いくらW杯といえラグビーで数字を取るのは難しい、と日テレは判断したわけです」(スポーツプロデューサーの杉山茂氏)
確かに日本でのラグビー人気は低い。放映権料も安かったはずだという。
「もともとラグビーW杯の放映権は代理店のIMGが持っているが、日本で売るのは難しい。そこで電通が引き受けて、なんとか日テレに買ってもらった。放映権料は3局合わせて5億円もいかないでしょう。とはいえ、あの番狂わせで2戦めの視聴率は15%、3戦めは19%だから、日テレとしてはすごいお買い得だったわけですよ」(杉山氏)
次回は2019年日本での開催だが、今回のことを踏まえ放映権料が高騰するのは言うまでもない。
●プロ野球
終了したばかりのプロ野球の日本シリーズだが、かつての盛り上がりはない。
「数年前まで日本シリーズは1試合1億5000万円だったが、現在は9000万円。しかもNHK-BSが同時中継する場合は3000万円をNHKが負担する」(民放プロデューサー)
かつてプロ野球はテレビにとってドル箱だった。特に巨人戦の放映権は1990年代まで1億円を下らなかった。ところがサッカーやMLBなどが人気になり、多チャンネル時代を迎えたこともあり、その人気は下降している。
現在、中継のメインはBSとCSに移り、地上波で放送される試合はきわめて少ない。
「現在巨人戦は地上波で2000万円程度。それでもなかなか売れない」(同)
もはや“オワコン”といわれても仕方がない現状だ。
●フィギュアスケート
30%以上の視聴率を稼ぎ出すこともあるフィギュアスケートは、裏での駆け引きも激しいという。
「各局が『協賛金』名目でスケート連盟に毎年かなりの額を払っているが、なかでもフジは年間10億円近く出している。かつてフィギュアはTBSがメインだったが、2004年からフジが世界選手権の放映権を取得するなどして勢力図が大きく変わった。現在は世界選手権と全日本選手権を持っているフジとGPシリーズのテレ朝が鎬しのぎを削る状況」(テレビ局関係者)
全日本選手権のような大きな大会の放映権料は1日あたり5000万円だという。浅田真央が復帰して誰よりも喜んでいるのは、フジとテレ朝の関係者だろう。
(FLASH+ 2015年12月5日増刊)