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香港デモ「民主化への思い」をポスターで見て、感じよ
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2019.07.27 16:00 最終更新日:2019.07.27 16:00
中国本土への犯罪人引き渡しが事実上可能となる「逃亡犯条例」の改正案をめぐり、香港で大規模な抗議デモが続いている。
英国領だった香港が中国に返還されて22年目となる7月1日には、香港の立法会(国会)前に大勢のデモ隊が埋め尽くし、立法会の占拠を試みた一部の参加者たちと警察が衝突した。
「衝突はやむを得ないことだと思う。私たちは今まで平和的な方法をとってきたが、政府は何の措置も取ってくれなかった」
こう語るのは、2014年の雨傘運動の頃からデモに参加してきたメリーさん(28)だ。若い世代の話を聞くと、条例自体に反対というより、中国との関係を強化しようとする香港政府に対して抗議している様子がうかがえた。
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条例自体が自分に影響するとは思わないが、可決によって、やがて香港も中国化してしまうのではないかと懸念している人が多いようだった。
逆に英領時代を知る年配者は、言論や報道の自由があった当時の方がよかったとして、香港政府にも中国政府にも抗議を続けていた。
デモがない日でも、毎日、英国の国旗を持って立法会前に足を運ぶアレクサンドラさん(63)はこう話す。
「香港が中国に返還されたとき、正直とても嬉しかった。ついに英国領ではなくなった、と心から喜んだ。しかし、それからの香港は変わらないどころか、悪化している。このままでは言論の自由が奪われてしまう。
香港政府も中国政府も、香港はいつか民主化すると言ってきた。香港人は中国返還から10年、20年後には民主化すると信じていた。だが実現されなかった」
もともと、中国の深センにアパートを借り、香港と中国本土を毎日行き来していたというアレクサンドラさんは、中国人自体が嫌なのではなく、中国政府のもとで生活したくないと話す。
混乱の収まった立法会周辺ではすでに片付けが始まっていたが、建物の壁や柱に数多くのポスターが残されていた。そこからは、デモ参加者たちの真剣な思いが伝わってくる。
参加者の話では、デモ主催者たちが事前にポスターやプラカード用のテンプレートを配布しており、各々が印刷して持参しているという。なかには、自分でデザインしてSNSで共有する人々もいる。
ポスターやプラカードに書かれた言葉は、政府や警察に対する暴言というより、一緒にデモに参加する仲間に対して「頑張ろう」と励ますメッセージが多いようだ。