「号車による偏りも、かなりあります。地上駅の多くは、ホームの中央付近に改札口に繋がる階段が設置されています。そのため、中央付近の車両に乗客が集中します。
逆に、地下鉄ではホームの両端に出入り口や乗り換えの階段が設置されている駅が多いので、前後の車両に乗客が集中しがちです」(枝久保氏、以下同)
この、号車ごとの混雑の偏りを可視化したものがある。都が推進する「時差Biz」の一環として、東京メトロや東急、京急などで、電車・号車ごとの混雑状況がネット上で公開されている。ピーク時であっても比較的すいている車両は、探せば見つかるのだ。
たとえば、日本でもっとも高い「混雑率199%」と発表された東西線の木場→門前仲町間。冒頭の図は、ピーク時とその前後の電車の状況だが、これらは抜粋で、この間にも電車があることに注意してほしい。
たしかに、7時52分~8時15分のあいだの11本は、全車両が「かなり混雑」だが、それ以外は4、5号車を中心にすいている車両もある。
「東西線の場合、都心部の駅は、ホーム前後に階段があるタイプが多いため、前後車両が混雑します。4号車は弱冷房車でもあり、“エアポケット” 的な車両になっているのでしょう」
一方、上の図は、「混雑率182%」で10位の東急田園都市線・池尻大橋→渋谷間。こちらもピーク時とその前後から抜粋している。
10両すべてが「かなり混雑」するのは、8時11分の1本のみ。混雑の中心は4、5、6号車。7号車はなぜかすいている。8時6分、11分、15分、43分は準急。各駅停車より準急が混雑する傾向がある。
また、「遅延」も、混雑率に大きな影響を与えている。
「遅延は混雑を生みます。遅延の多い路線は、計算上の混雑率よりもさらに混雑している可能性が高い」
ところで国交省は、東京圏の鉄道の遅延の調査もおこなっている。20日間あたりの遅延証明書発行日数は、ワーストの中央・総武線各駅停車で19.2日。混雑率上位の東西線、横須賀線、東海道線などはすべて17日超。ほぼ毎日のように遅延しているのだ。
「小田急線は、昨年の複々線化で大幅に混雑率を下げました。しかし今後、首都圏で大規模な新線建設の予定はなく、混雑緩和には “オフピーク” しか手立てがないのが実情です。
家を出る時間を少し早めて各駅停車に乗る、乗り換えにやや不便な車両を選ぶなどの工夫をしてみてはどうでしょう」
読者諸兄も、試してみてはいかが?
(週刊FLASH 2019年8月20・27日号)