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本誌記者、終戦記念日の靖国神社でゲリラ豪雨に襲われる
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2019.08.16 00:03 最終更新日:2019.08.16 00:03
8月15日、本誌女性記者は靖国神社へ参拝に行った。今年は創設150周年の節目だが、台風が近づく不安定な天気で、どの程度の人がいるのか、ちょっと想像できないでいた。
記者が最寄り駅の九段下に降り立ったのは15時頃。地上に出ると、いきなり日の丸をかかげた街宣車のがなり声が襲ってきた。
道端では、「愛国心を取り戻すための活動をしています! いかがですか!」と、フリーペーパーを配っている人たちがたくさんいて、お祭りのような賑わいだった。
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配っていたのは、意外と若い子が多い。どう見ても大学生ぐらいだ。そのうち1人に「大学のサークルか何かですか?」と聞いてみると、「幸福の科学の学生部です!」と笑顔で返された。確かによくよく見れば、フリーペーパーの左下に「大川隆法 組織を率いる人の心の統御」と書いてあった。
境内は意外と穏やかで、旧日本軍の軍服を着たおじさん方が10人程いたり、ベンチで酒盛りしてるおじさん集団がいたり。なかには「Go to hell! 共産党は地獄に堕ちろ!」と叫んでいるおじいさんもいたが、全体として怖い印象はない。
拝殿への通路にはミストが撒かれていて、熱中症対策は万全だ。夕方近かったが、参拝者の列は100メートルほど続いていた。家族連れも多く、横にいた子供は母親に「かき氷まだ?」とねだっていた。10数分ほど待ち、無事に参拝を終えた。
安倍首相は、2013年12月に参拝して以来、参拝を見送っている。今年も、代理人の稲田朋美議員を通じ、玉串料を私費で奉納するにとどまった。国会議員では、他に自民党の萩生田光一幹事長代行や小泉進次郎議員らが参拝している。
記者も誰か有名人に出会わないか周囲を見渡していたが、さすがにこの時間帯では、その可能性も低そうだ。
実は今回、記者が行きたい場所は2カ所あった。ひとつは「遊就館」、もうひとつは「招魂斎庭」だ。
遊就館は、遺品などを展示している資料館だ。玄関ホールにゼロ戦や機関車が飾ってあると聞き、ぜひ一度見てみたかった。
実際に目の当たりにしたゼロ戦は、想像以上に羽が薄く、コンパクトな機体をしていた。展示されていたのは五二型と呼ばれるもので、大戦後半、米軍機に対抗するために登場したものだという。解説文には「昭和二十年(1945年)八月までに約一万機が造られたが、現存しているゼロ戦は二十機に過ぎない」と書いてあった。
「招魂斎庭」は、戦地で亡くなった兵士たちの魂を招き、「英霊」とする儀式をおこなう聖なるエリアのこと。現在は駐車場となっているが、靖国神社の聖域といってもいい。
だが、私が駐車場の奥にある「招魂斎庭」の碑を目指そうと歩き出すと、ぽつぽつと雨が降り出した。これはマズい。そのまま駅まで逃げようとしたが、徐々に雨足が激しくなってくる。
風も強くなり、せっかく出した折り畳み傘がばきばきと裏返しになる勢いだ。このゲリラ豪雨に、周囲から「ウソでしょ~!」との悲鳴が聞こえたが、まったく同感である。
右に左に吹き荒れる雨のおかげで、ズボンは完全にビショビショになってしまった。靴の中は言わずもがなだ。あれだけ人がいた拝殿も、さすがに無人状態。酒盛りしていたおじさんたちの姿もなく、ベンチには日本酒の箱が大量に転がっているばかりだ。
なんとか神社を抜け出し、駅にたどり着いた。服は上下ともたっぷり水を吸って重くなっている。ちょっと座ると、その場が水浸しになるほどだった。
戦争が終わった1945年8月15日は、空が真っ青に晴れていたという。だが、もし今後もこんなゲリラ豪雨が続くようだと、終戦記念日の参拝にも大きな影響が出るかもしれない。そんなことを、記者は思った。