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足元が揺らぐ韓国大統領、疑惑の側近が語った「4つのアリ地獄」
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2019.08.29 21:01 最終更新日:2019.08.29 21:01
「日本は正直になれ――」
韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は、8月29日の閣議で、再び日本を強く牽制した。
日韓の軍事情報共有ルール「GSOMIA」を破棄するなど、強気の姿勢を崩さない文大統領だが、実はいま、その足元が大きく揺らいでいる。
法務大臣に指名した最側近チョグク氏に、娘の不正入学や息子の兵役逃れなど、複数の疑惑が噴出しているからだ。すでに検察が強制捜査に着手しており、対応を間違えると、政権運営が危機に陥る可能性がある。
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チョグク氏は、ソウル大学大学院を卒業し、その後、同大教授になった法律の専門家。2017年5月に司法を統括する「民情首席秘書官」に任命されて以来、側近中の側近として活躍してきた。
文大統領の自伝『運命』には、《教授が書いた『進歩執権プラン』が話題になっている。とてもよい本だと思う。私たちの社会がどのような方向に進んでいくべきかを、わかりやすくしっかりと整理してくれた》と書かれており、同氏は秘書官に任命される前から一目置かれてきたことがわかる。
文大統領の理想が描かれているという『進歩執権プラン』は、2010年に出版された。当時の李明博政権に否定的な立場から、どうすれば進歩派(左派)が再び政権を取れるかが、具体的に記されている。
出版に際して開催された講演会で、チョグク氏は韓国の現状に対し、問題意識をこう語っている。
「韓国には4つのアリ地獄があります。1つ目は家庭教育、2つ目は若年層の失業。3つ目はマイホーム。最後の4つ目は老後の不安です」
この講演から9年たった今も、この4つのアリ地獄は解決していない。
学歴社会の韓国では、教育費の負担が大きな問題になっている。3月28日の『日本経済新聞』によると、ソウルの富裕層では毎月およそ17万~43万円の教育費がかかるという。
若年層の失業も深刻だ。2019年7月の失業率は23.8%。実に若者の4人に1人に仕事がない。
マイホーム問題は住宅費の高騰、老後の不安は年金の不備を指す。7月24日の『中央日報』によると、韓国の高齢者の54.1%が年金を受給していない。
日本以上に行き詰まりを見せる韓国社会は、現在では「ヘル(地獄の)朝鮮」と呼ばれる。国を捨てる人も多く、2018年11月24日の『中央日報』によると、2018年1月~10月に国籍を放棄した人が3万人を超えたほど。
韓国の野党は、GSOMIAを破棄した文大統領を強く批判している。チョグク氏の発音は、韓国語で「祖国」に通じることから、「仲間のチョグクを救うため、我々の祖国(チョグク)を捨てた」と批判されている。
チョグク氏とともに「理想の国」を目指した文大統領だが、韓国の行く末は理想とはほど遠いものになるのかもしれない。