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「漫画村」運営者はタワマン住まい…原告の漫画家が怒り心頭
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2019.09.09 20:43 最終更新日:2022.02.14 18:11
「カネ払え!と叫びたい気持ちですよ」
憤懣やる方ない様子で語るのは『Walkin' Butterfly』などで知られる漫画家のたまきちひろ氏だ。
違法コピーした漫画を無断掲載していたサイト「漫画村」。その運営者だった星野路実容疑者がフィリピンの空港で身柄を拘束されたのは、7月7日のこと。その後、同サイトに関わっていた都内の20代男女2人が、著作権法違反容疑で逮捕されている。
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星野容疑者は現在もフィリピンで拘束されているが、9月9日、20代男女の初公判が開かれた。公判では、スタッフに10人超の「画像収集部隊」がいることが明らかになった。
「漫画村」はすでに閉鎖されているが、それまでに多額の広告収入を得ていたとみられる。被害額は3200億円以上ともいわれる。「漫画村」に作品を掲載された被害者で、訴訟の原告となっているたまき氏が、その経緯と心中を明かした。
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「私が原告となっている訴訟は、『漫画村』にサーバーを提供していたアメリカのクラウドフレア社に対して起こしたものです。
2018年4月、中島博之弁護士を代理人として、東京地裁へ情報開示請求しました。そして同社から開示された情報を弁護士が分析し、2018年10月に運営者が特定できました。それが星野路実です。
以前から『漫画村』の運営者は星野ではないか、という噂はあったんです。ネット界隈ではかなり怪しいことをやっている人物として有名でしたから。その証拠を見つけ、運営者を特定することが、訴訟の目的でした。
とはいっても、これらはすべて中島弁護士がやったこと。私は『漫画村』に作品を掲載され、中島弁護士とは以前から友人だったことから、中島弁護士からの協力要請により原告になったにすぎません。私はたまたま原告ですが、漫画家全体が被害者なんです」
2018年10月、中島弁護士から、運営者が星野容疑者だと特定でき、拠点の住所までつきとめたと連絡があった。
「驚いたことに、星野は新宿の高級タワマンに住んでいたんです。相当の広告収入、おそらく億単位の収入があったということですよね。本当に頭に来ました。
星野が捕まった後に20代の2人が逮捕されましたが、グループはまだまだいるはずです。『漫画村』に掲載されていた漫画は膨大で、そのほとんどが発売当日にアップされていたんですから。警察には徹底的に調べてほしいですね。
ただ、著作権というのは非常に難しいそうです。グレーゾーンが多く、裁判コストや立証難易度のわりに、同じ知財の特許と比べるとお金にもならない。
だから、ほとんどの弁護士はやりたがらないと聞きます。熱烈なマンガファンである中島弁護士は以前から『漫画村』の問題を注視しており、いつも殺人的に仕事が忙しいのに、何カ月もログの解析に時間を費やしてくれて。弁護士の枠を超えた仕事をすべてボランティアでしてくれています。違法サイト問題に解決の糸口がまるで見えず、絶望していた漫画家にとってはまさに正義の味方です」
たまき氏は、今回の事件の背景には、漫画家と出版社ともにビジネス感覚の甘さがあると言う。
「漫画家は権利に疎いし、大手出版社もITが得意ではありません。また、読む側の意識にも問題があります。『漫画村』ユーザーで著作権についての認識を持つ人がどれだけいたでしょう。
少し前に『びっくりドンキー』で、たまたま隣にいた大学生のグループからこんな会話が聞こえてきました。
『あ~、漫画村、復活しねえかな。俺、生活の中心、漫画村だったわ』
『でもさ、漫画村、ダメ、絶対!ていう漫画あったよな』
『あ、それも漫画村で読んだわ(笑)』
こんな調子ですから、多くの読者にはまったく罪悪感がないのでしょう。私たち漫画家は、読者に楽しんでもらうため、決して楽ではない創作に膨大な時間と労力をつぎ込んでいます。なのに、その読者が漫画家の味方でないなら、何を拠り所に創作をしたらよいのか、悲しくなります。
そして、ああいうサイトに広告を出している会社、それを仲介する広告会社にも問題があります。
今回、星野やグループの一部が捕まったことは、大きな抑止力になるはずです。ただ残念なことに、類似サイトが今も後を絶ちません。取り締まりを強化していくだけでなく、マンガ業界の流通システムを時代に合わせて変える必要があるでしょう」
今後は、出版社同士が連携していくことも必要になるという。
「『漫画村』は卑劣極まりないですが、皮肉なことに、ユーザーにとっては非常に使い勝手がいいサイトでした。デザインが見やすくて、面倒なユーザー登録もいらない。
そしてなんといっても、すべての出版社の作品が一つのサイトで読めた。これは今ある正規の漫画サイトにはない仕様です。各出版社が作っている正規の漫画サイトが読者ファーストかと言われれば疑問です。
ネット上でもコピーや拡散、記録の改ざんが不可能で、安全に人から人へとデータを移動させることができる、仮想通貨で使われるブロックチェーンのような技術を利用できたらいいですね。『漫画村』のようなサイトをなくすために、漫画家も出版社も、意識を変えていかなくてはなりません」
星野容疑者は日本に移送され次第逮捕される見込みだが、海賊版サイトは最近も続々と出現しており、事態は深刻なままである。