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グーグル創業者も…米国のユダヤ社会に広がる杉原千畝の業績
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2019.09.15 11:00 最終更新日:2019.09.15 11:00
9月12日、米国シリコンバレーのユダヤ人コミュニティクラブで、映画『杉原千畝』の上映会が開かれた。チェリン・グラック監督がハリウッドから駆けつけ挨拶したほか、日本とイスラエル両国の領事が出席。上映前には日本人職人による寿司が振る舞われた。
杉原千畝は、第2次世界大戦中のリトアニアで、ユダヤ人を救うため、独断で日本領の通過ビザを発給し、ナチスの迫害から6000名もの命を救った外交官。
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映画の主演は唐沢寿明で、妻を小雪が演じた。2015年の映画完成以降、アメリカでいまだに上映会が続く話題作だ。サンフランシスコだけでもこれまで2回、最近ではラスベガスでも上映され、監督はそのたびに上映会に出席している。
杉原千畝はイスラエルにあるホロコースト記念館内の「名誉の壁」に、その名前が刻み込まれた唯一の日本人。杉原が助けたユダヤ人は「スギハラサバイバー」と呼ばれ、映画の完成時で推定4万人、現在はさらに膨れ上がっていると監督が語る。
実際、世界中に散らばっているユダヤ人のおよそ4割がイスラエルに住み、アメリカにも4割弱のユダヤ人が住んでいる。トランプ大統領の娘が結婚によりユダヤ教徒に改宗したように、アメリカとユダヤ人はとても深い関係にある。
シリコンバレーを代表する企業、グーグルやフェイスブック、オラクルなどの創業者も、いずれもユダヤ系だ。日本では、ユダヤ人=お金持ちという認識の人が多いだろうが、たしかにユダヤ人は、教育熱心で優秀なことで知られている。
上映会に来ていたバヒアさんは、日本を旅行した際、杉原千畝の母校にある記念館を訪れ、とても感銘を受けたと語る。
「映画を見て、完璧ではない人間がそれでも自分の信念を貫き通す姿がよくわかりました」
また、8歳の男の子が、授業で杉原千畝について、クラスメイトの前でプレゼンしたという話もある。
アメリカ社会で、ひそかに感謝されている杉原千畝。70年以上も前の出来事に、今も感謝を忘れないユダヤ人の律儀な一面を垣間見た。
取材・文/白戸京子
写真/Sara Matsumoto