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【1940年、幻の東京五輪】(3)英会話から東京湾空港まで……沸き起こった大ブーム  社会・政治 投稿日:2016.05.17 16:47

【1940年、幻の東京五輪】(3)英会話から東京湾空港まで……沸き起こった大ブーム  

外国人対策でにぎわう英語学校(内閣情報部『写真週報』第8号より)

 

 1936(昭和11)年夏にオリンピックの東京開催が決定するや否や、東京五輪フィーバーが起こった。日本国内だけではなく、海の向こうにおいても、一気に東京ブーム、日本ブームが巻き起こった。

 

 チャップリン、キートンに並ぶ三代喜劇王、「ロイドめがね」でおなじみの映画スター、ハロルド・ロイドは、一家揃っての観戦を表明。それどころか、ゲイリー・クーパーやクラーク・ゲイブルなど豪華ハリウッド・スターを引き連れての東京入りをブチ挙げた。

 

 その他にもオリヴィア・デ・ハビランドなど有名スターが、東京五輪と日本見物を予定中と報じられる。「ベティ・ブープ」のアニメ制作者マックス・フライシャーも観戦を宣言するなど、ハリウッド・セレブたちが一斉に東京行きを口にした。東京は一気に世界のホットスポットとなった。

 

 東京を目指したのは、セレブばかりではない。ベルリンから東京まで徒歩で踏破しようというドイツ系アメリカ青年やら、同じくスイスから東京への徒歩旅行に出発したスイス青年のニュースが海外の新聞で報じられる。

 

 彼らがその後どうなったかはわからないが、ありとあらゆる珍客たちが極東の都「トーキョー」訪問を熱望していた。

 

 さらにベルリン大会でフィンランドのボクシング・チームのコーチとして働き、見事ウェルター級で優勝に導いた人物など、さまざまな人々が職を求めてきた。

 

 こうした海外からの熱い視線を、日本側も気づかないわけがなかった。大挙して押し寄せて来る関係者や観光客への対応を、早急に迫られることになる。

 

 まず必要になるのは宿泊施設だ。帝国ホテル社長の大倉喜七郎は、1936(昭和11)年のIOC会長アンリ・ド・バイエ=ラトゥール来日の段階で、早くも帝国ホテルの大改装・増築案を披露していた。

 

 残念ながらその後の統制によって一切が白紙になってしまったが、東京・赤坂の山王ホテルなど、全国各地でホテルの増改築が計画された。

 

 宿泊施設だけでなく交通手段についても、派手なプランが次々打ち出された。ドイツのツェッペリン輸送組合がヒンデンブルク号級の飛行船で東京直行便を飛ばすという計画が伝えられるかと思えば、日本郵船も負けじと巨大な豪華客船の建造計画を発表。

 

 また、1931(昭和6)年に開港した羽田飛行場を大拡張する計画も浮かび上がる。これは周辺地域にも検査所や格納庫、事務所などが建設されるという豪華版だ。

 

 さらには、東京湾に新たな「国際空港」の建設も計画されていた。城東区砂町の沖合(現在の夢の島公園)を埋め立て、巨大な「東京市飛行場」を建設しようというのである。

 

 これは机上の空論ではなく、実際に埋立作業まで漕ぎ着けている。戦争などの状況が悪化していなければ、ひょっとしたら実現していた可能性のある大プロジェクトだった。

 

 海外との行き来が圧倒的に船舶によるものだった当時、帝都・東京への表玄関の役割を果たしていた横浜も、こうした状況に敏感に反応した。

 

 横浜市は東京オリンピック開催決定を受けて、1936(昭和11)年8月に土地観光課を新設。観光の隆盛とともに横浜の住宅地域、商業地域、工業地域の発展を図ろうとした。さらに、ヨットの会場として早くから名乗りを挙げ、ヨットハーバー建設も計画。1938(昭和13)年には見事に開催を勝ち取った。

 

 海外からの客を迎えるにあたって、サラリーマンや店員らは英語やフランス語などを学びはじめた。

 

 いたずらに外国人をもてはやしたり眉をひそめるような振る舞いをしないよう、「女性の意識の向上」を図ろうなどと運動する人々もいた。

 

 その一方、外国人向けにダンス施設の拡充と取り締まりの緩和を主張する声もあった。

 

 この時点では、世間はまだオリンピックに対して圧倒的に肯定的な気分だったのである。 

 


 

<著者プロフィール>

夫馬信一 1959年、東京生まれ。1983年、中央大学卒。航空貨物の輸出業、物流関連の業界紙記者、コピーライターなどを経て、書籍や雑誌の編集・著述業につく。主な著書に『日本遺構の旅』(昭文社)、『ヴィンテージ飛行機の世界』(PHP研究所)など。今年1月発売の『幻の東京五輪・万博1940』(原書房)は、9年の歳月を費やし札幌、大阪、長崎など全国各地への取材を経て完成した。

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