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写真で検証「台風19号」被災地に広がる苦悩の声を聞け

社会・政治 投稿日:2019.10.23 11:00FLASH編集部

写真で検証「台風19号」被災地に広がる苦悩の声を聞け

決壊した越辺川堤防で現地調査をおこなう国交省の職員

 

 各地に残った台風19号の傷痕は生々しい。10月14日、埼玉県坂戸市の被災地では、流されたトラックの持ち主が周囲のごみを撤去していた。

「12日夜、道路が冠水していて身の危険を感じ、車を置いて逃げた。翌日見に来たら、数百メートル先まで流されていました」(持ち主)

 

 

流されたトラック

 

 千曲川(長野県長野市)の堤防が決壊した地点から近い津野地区にある寺には、標柱が立っている。実家を片づけていた男性はこう話す。

 

「標柱を見ると、1742年の洪水では、3.4メートルの高さになったことがわかるでしょ? この地域では、毎年防災訓練をやっているけど、あれだけの水が来たら、とにかく逃げるしかないんだ」

 

津野地区の寺に立つ標柱

 

 千曲川の堤防決壊地点から約1キロほどのラーメン店の内部。店主の小坂拓也さんは、九死に一生を得たという。

 

「10月1日にリニューアルオープンしたばかりなのに、厨房も倉庫も全部ダメになった。店に泊まることもありましたが、堤防が決壊した13日未明にもここで寝ていたら……」

 

ラーメン店の内部

 

 創業340年超で、「開華」などの銘柄を出す、佐野市の第一酒造・島田嘉紀社長は、こう肩を落とす。

 

「設備の被害状況が確認できず、例年10月から始める酒造りを再開する見通しが立ちません。土砂が軟らかく、どかしても元に戻ってくる。どう処理したらいいのか、困っています」

 

土砂まみれの第一酒造

 

 近年人気のタワーマンション街・JR武蔵小杉駅付近では、台風通過直後は下水が噴き出し、そのにおいがネットで話題になった。

 

「多くは雨水ですが、(生活排水との)合流式なので……」(水道局)という。あるタワマンの住人は、「複数の棟で停電が長引いており、ポンプが動かずトイレが使えない」と困惑していた。

 

 高津区内のマンションでは、地下駐車場が水没。
「浸水前に出しておいたので、私の車は無事でした。しかし、駐車場がしばらく使えないので、代わりの駐車場を探さなければいけません」(住人)

 

水没した地下駐車場

 

 上田市諏訪形の上田電鉄別所線では、鉄橋が崩落した。不通区間はバスによる代替運行がある。

 

鉄橋の崩落現場

 

 10月15日、捜索にあたる自衛隊員が千曲川近くのりんご畑に。決壊した堤防の復旧作業にあたっていた業者の男性はこう話す。

 

「河川敷には、広いりんご畑があって、農家の人が畑に降りるための道があった。敷設するために、200メートルほどの堤防の幅が少し狭くなっている部分があって、以前から危ないんじゃないかって話は出ていましたね」

 

決壊した堤防近くのりんご畑

 

(週刊FLASH 2019年11月5日号)

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