社会・政治
平成「即位の礼」を仕切った男が「高御座は京都からヘリ空輸」
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2019.10.25 11:00 最終更新日:2019.10.25 11:00
10月22日に厳かで華やかな儀式「即位の礼」がおこなわれた。時をさかのぼること30余年、平成への代替わりのときに「事務方のトップ」を務めた石原信雄氏に、当時の苦労を聞いた。
*
昭和から平成への代替わりのときに、内閣官房副長官として、即位の礼の実務に携わりました。いわば、“新憲法下での即位儀礼の先例” をつくったわけです。
【関連記事:いわば皇族の披露宴「即位の礼」はこうしておこなわれる】
即位儀礼のなかで中心的な儀式が、「高御座」に新天皇が昇られて、即位を宣明されることです。京都御所にある高御座を東京に運ぶわけですが、「過激派が高速道路で襲撃する計画がある」という警察情報があったんです。
警察は、「完璧に襲撃を抑えるのは不可能だ」と言っていました。しかし、国民が目に見える形で新天皇の即位を実感するためには、高御座がどうしても必要です。
そんなとき、当時の防衛庁の職員から、新しい大型のヘリコプターを自衛隊が導入したという話を聞いたんです。トラック2台ぶんは優に運べるというんですね。それで急遽、自衛隊のヘリコプターで運ぶことにしたのです。
「即位礼のあと、新天皇が皇居から赤坂御所までパレードをされるときに使用する車をどうするか」ということも、問題になりました。
オープンカーを準備していましたが、治安状況に自信が持てない場合、残念ながら通常の「御料車」に乗っていただくしかない。屋根つきの御料車は防弾装備で、少々のことには耐えられるようになっていたんです。
とりあえず両方準備して、最後の最後に、オープンカーに乗っていただくことになったんです。最後まで迷ったことは陛下もご承知だったようで、車が赤坂御所に無事に到着したとき、「よかったですね」とひと言おっしゃったことが忘れられません。
前回は内閣の一員でしたが、今回はいち国民として招待していただいていますので、気持ちとしてはずいぶん楽ですね。
いしはらのぶお
1926年生まれ 群馬県出身 1987年より1995年まで、7つの内閣で官房副長官を務め、海部内閣で平成の即位の礼の実務を取り仕切った
(週刊FLASH 2019年11月5日号)