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ヤフーとLINEが経営統合するも、立ちはだかるGAFAが巨大すぎる

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2019.11.20 16:46 最終更新日:2019.11.20 16:46

ヤフーとLINEが経営統合するも、立ちはだかるGAFAが巨大すぎる

写真:ロイター/アフロ

 

 ヤフーを運営するZホールディングス(ZHD)とLINEは、11月18日、経営統合を発表した。ZHDの親会社ソフトバンクと、LINEの親会社である韓国のネイバーがそれぞれ50%ずつ出資し、その会社の傘下にヤフーとLINEを置くことになる。

 

 今回の統合に対し、LINEの出澤剛社長は「強い危機感があった。今が手を打つタイミングだった」と説明。ZHDの川邊健太郎社長は「志は一つ。世界の第三極になる」と発言した。

 

 

 両者の視線の先にあるのはアメリカの「GAFA」と中国の「BAT」だ。「GAFA」はグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、「BAT」はアリババ、バイドゥ、テンセントである。

 

「ヤフーとLINEは、統合してスーパーアプリ化することを目指しているのでしょう」と経済ジャーナリストの岩崎博充氏が語る。スーパーアプリとは、スマホ一つでメッセージのやり取りからコンテンツ、決済まで網羅する万能アプリのことだ。

 

「今回の統合は、ショッピングや決済など共通する部分も多いですが、それぞれにないものを補う形でもあります。ヤフーはメッセージアプリを持っていなかった。一方、LINEの親会社であるネイバーは、人工知能の開発に乗り出したかったが、研究開発費が少なく、新しい道を開拓できなかった」(岩崎氏)

 

 2社の統合で目指しているのは、タイやインドネシアなど東南アジアでの勢力拡大だと岩崎氏は言う。

 

「アジアで最も大きい市場は中国とインド。しかし、中国はITが発達しており、インドも独自の技術がある。LINEは台湾やタイではトップ、インドネシアでは2位のシェアです。まず日本国内で統合し、そのあと東南アジアに広がっていくつもりでしょう」

 

 問題は、ヤフーとLINEが統合しても、「GAFA」と「BAT」に、まったく規模で追いつかない点だ。

 

「グーグルの研究開発費は2.4兆円と言われますが、ヤフーとLINEはあわせても200億円。桁が2つ違うわけで、これではまったく太刀打ちできません」(同)

 

 ここで、「GAFA」の時価総額と営業利益を見てみよう。以下は、GAFAの時価総額/営業利益を1ドル110円で計算したものだ(2019年11月現在)。

 

●グーグル(アルファベット)
93兆円/2.9兆円

 

●アップル
130兆円/7兆円

 

●フェイスブック
53兆円/2.7兆円

 

●アマゾン
96兆円/1.4兆円

 

●Zホールディングス+LINE
3兆円/1566億円

 

 GAFAの背中がはるか遠くにあることがわかる。もちろん、中国のBATも同様だ。この状況で岩崎氏が懸念するのは、「日本のITのガラパゴス化」だ。

 

「たとえば通販では、アメリカではアマゾン、中国ではアリババというように、プラットフォーマーが利益を総取りします。日本でも経営統合でその方向を目指すのでしょうが、規模が小さすぎて、日本独自で戦うのは厳しい。結果的に、日本だけでしか通じないガラパゴス化する恐れが強いのです」

 

 ヤフーLINE連合は、はたして世界でどこまで勝負できるのか。

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