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101歳で死去した中曽根康弘元首相、長寿の秘密は「座禅」だった

社会・政治 投稿日:2019.11.29 16:11FLASH編集部

101歳で死去した中曽根康弘元首相、長寿の秘密は「座禅」だった

中曽根氏(2018年)

 

 1982年から1987年にかけて内閣総理大臣だった中曽根康弘氏が死去したことが、11月29日、わかった。101歳だった。


 
 中曽根氏は、1918年、群馬県高崎市生まれ。1941年、東京帝大を卒業後、内務省に入り、戦時中は海軍に勤務した。戦後の1947年、内務省を退職して衆院選に立候補。初当選から連続20期、実に56年間にわたって国会議員を務めた。 

 

 

 多くの業績を残したが、原子力の平和利用の推進と、国鉄・電電公社・専売公社の民営化を実現したことで知られる。アメリカのロナルド・レーガン大統領と「ロン・ヤス」と呼び合う友好関係を結び、日米安全保障体制の強化に努めた。

 

「政界の風見鶏」と揶揄されたが、1996年には自民党の比例北関東ブロックで終身1位を保証され、長らく「大勲位」と呼ばれた。政治家引退後も「憲法改正」をテーマに掲げ、2005年には関連する世界平和研究所が憲法改正試案を提示するが、これは実現することはなかった。

 

 多趣味で知られ、絵画・俳句・書道などを愛した。哲学や芸術にも造詣が深く、フランスのミッテラン大統領とフランス語で語り合ったこともある。

 

 中曽根氏が愛した健康法が「座禅」だった。
 最後の秘書として知られる田中茂氏の著作『100歳へ!』(光文社刊)によれば、総理時代、山岡鉄舟が建立した東京・谷中の全生庵に172回も通ったという。およそ11日に1回は座禅を組んでいたことになる。

 

 中曽根氏は田中氏にこう語ったという。

 

「まず深呼吸をする。そしてお尻の下にある深さ1000メートルの井戸から気をグーッと吸い上げる意識を持つ。背骨を通して頭の上まで吸い上げたら、今度はそれをまたグーッとプッシュバックする。それを想念で静かにやる。すると、バラバラになっていた体の細胞が上下関係に整列してくる感じになる」

 

 中曽根氏が座禅を始めたのは大学時代だったが、海軍時代、死線をさまよったことも大きく影響している。海軍主計将校として、設営隊に属し、パラオ、フィリピン、インドネシア、台湾を転戦した中曽根氏は「自分は運がいい」と語っていた。

 

 だが、「その運のよさはいつまで続くかわからない」とも話していたそうで、そうしたストレスを座禅によって除いていたのだ。

 

 中曽根氏が96歳のとき、田中氏は「未来についてどう考えていますか」と聞いた。そのときの答えは、「未来は考えないね。今を充実させていくことで精一杯だ。未来は神様が与えてくれる」だったという。

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