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大阪小6女児も…少女たちを狙う「スマホで出会った男」
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2019.12.06 06:00 最終更新日:2019.12.06 06:00
大阪で行方不明だった12歳の女の子は、栃木の男の家に監禁されていた。そこには、別の15歳の少女もいて――。
大阪・小6女児の行方不明報道から約1週間。驚きの結末が報じられた。11月23日、未成年者誘拐容疑で逮捕されたのは、伊藤仁士容疑者(35)。
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伊藤容疑者は取調べに対し、「助けを求めている子を助けてあげた」と供述したが、彼はツイッターを使って、女児を誘い出していた。結局、女児は靴も履かずに、自宅から逃げ出した。
少女が「スマホ」を媒介にして男性と接触し、事件に巻き込まれる例が急増している。
《2019年1月、菊池捺未さん(19)の遺体が、茨城県内で発見/広瀬晃一容疑者(35)を逮捕》
《2019年11月、石澤結月さん(20)が、新潟県内で刺殺される/齋藤涼介容疑者(25)を逮捕》
両事件とも、少女と容疑者の接点はスマホゲーム。菊池さんは『荒野行動』、石澤さんは『人狼殺』のユーザーだった。
また伊藤容疑者に続き、ツイッターを介して女子中学生を誘拐したとして、埼玉の阪上裕明容疑者(37)、東京の小林政司容疑者(43)が逮捕された。以下は、首都圏の現職刑事の談。
「SNS絡みの犯罪には、非常に困っている。規制する権限が警察にはなく、被害者はみずからの意思で、事件に巻き込まれている。捜査手法はかなり進んでいるけど、事件防止はどうにもならない状況だ」
「報道は氷山の一角にすぎない」とは、元兵庫県警刑事でジャーナリストの飛松五男氏。
「今年、個人的に相談を受け、12歳、14歳、18歳の3人の少女を捜索、発見しました。両親は『娘がスマホで見知らぬ男と連絡を取り失踪した。警察に相談しても出動してくれない』と。件数が多すぎて、捜査が追いつかないのです」
SNSのみならず、ゲームに危険が潜むのはなぜか。日本ハッカー協会理事で、『子どもたちが危ない! スマホの現実』(共著・秋元司衆院議員)の著者・石川英治氏は、“ある機能” の危険性を指摘する。
「『チャット機能』です。文字だけでなく、ボイスチャット機能も備えたゲームが多数あり、見知らぬ相手と気軽に会話ができる。いまの10代は、生まれたときからスマホがある『スマホネイティブ』世代。新しい機能でも、抵抗なく適応してしまうのです」
伊藤容疑者に誘拐された大阪の女児は、ツイッターだけでなく「10歳時から『荒野行動』で遊びはじめた痕跡があった」(捜査関係者)。
ITジャーナリストの井上トシユキ氏によれば、『荒野行動』は「100人が最後のひとりになるまで戦う、オンラインサバイバルゲーム。1億人超が遊ぶが、人気の秘密が “出会える” ことなのは周知の事実」だという。
「『荒野行動』には、少人数に分かれるチーム戦があります。仮想世界でも一緒に戦えば、連帯感や仲間意識が芽生える。精神的に未成熟な少女が、大人の “甘言” に惑わされる可能性は高いです」(石川氏)
今回、本誌は『荒野行動』で “出会った” ことのある、都内在住の女子大生・ハルカさん(21、仮名)に話を聞いた。まず教えてくれたのは、ゲーム内の掲示板機能についてだ。
「不特定多数のプレーヤーが、『誘って』などと書き込んで返信を待っているんですよ。私も、掲示板経由でチーム戦の仲間に入れてもらったことがあります。
チームを組んだら、ボイスチャットで会話しながらゲームをします。『彼氏いるの?』とかは、当たり前に聞かれますね。ゲーム内のチャットや掲示板には、規制やNGワードもないみたいで、過激な書き込みをしている人も見かけます。
ゲームスキルでヒエラルキーが決まるので、うまければ誰でもモテるし、アバターがカッコよかったりすると、ポイント高いかも」
実際の出会いにまで至ったのは、なぜだったのか。
「知り合ってすぐ誘われることは、よくあります。ゲームで親しくなっていたし、『食事をご馳走してくれる』と言うので……。でもゲームがうまい人って、会ってみると、コミュ障というか、ヤバい人も多いんです。
尾行されそうになったことがあるから、行き帰りのタクシーは必須だし、オフ会で会ったことのある男性に、後日電車で遭遇して、いきなり顔を近づけられて、びっくりしたこともありました。まぁもし粘着されたら、ブロックすればいいんですけどね」
悪人たちは、いつの世も最先端にいる。
(週刊FLASH 2019年12月17日号)