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【佐藤優×浜矩子対談】安倍首相の考え方はコンビニ前でウンコ座りしている連中と同じ
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2016.06.09 18:23 最終更新日:2016.06.09 18:23
情報を読み解くプロフェッショナルの佐藤優と、首相を「ドアホ」と喝破した気鋭のエコノミスト・浜矩子が、限界が見えてきたアベノミクスをぶった斬る!
佐藤 時々、新橋あたりの立ち飲み屋に行って、サラリーマンが何を話しているか、聞き耳を立てているんですよ。
浜 佐藤さんが横でじーっと話を聞いていたら怖いでしょうね(笑)。
佐藤 話の中身はだいたい二通りです。「自分は能力があるのに正当に評価されていない」「こんな会社なんか辞めて起業してやる」。こういう話を延々と繰り返しているんですよ。
浜 “勝ち組”になれないサラリーマンが、飲んだくれて憂さ晴らしをする。気持ちは理解できますが、“アホノミクス”はその心の隙間につけ入ってくる。「強い日本を取り戻す」と言われると、妙に期待してしまうんですね。けれど、期待は裏切られる。
「円安・株高」によって景気をよくする。それがアベノミクスの最大の売りだった。だが、ここへきて「円高・株安」が止まらない。
浜 金融政策の限界です。そもそも、アホノミクスのアホたる理由は、経済が何のためにあるかを完全に誤解していることです。富める者がより富めば、「トリクルダウン(滴り落ちる)」によって弱者にも恩恵が及ぶと言っていましたが、現実に格差は広がっている。まずやるべきことは貧困の解消ですよ。
佐藤 沖縄では子供の2人に1人が貧困状態です。夏休みが終わると体重が減ってしまう子が多い。給食がないからです。格差をこのまま放置しておくと、それが日本全体に広がります。
浜 格差を解消するためには所得の再分配が必要ですが、所得税の最高税率が引き下げられようとしている。金持ちから税金を取れなくなるんです。
佐藤 ただ、累進課税を厳しくしたら、金持ちが海外に逃げる。金融資産にして1億~5億円ぐらいまでの小金持ちがいじめられるだけで、それ以上の大金持ちは、みんな海外に逃げますよ。
浜 実際、「リッチスタン」(一般社会と異なり金持ちだけで仮想国家を形成しているという概念)といわれる富裕層の集団が出現している。彼らは、いっさい国の世話にならない代わりに、税金は払わなくていいと考える。こういう人が増えれば、経済の「地下化」が進んでいくでしょう。課税を逃れた人々が地下に潜ってしまうわけです。
佐藤 最近、1万円札が1億8000万枚増刷されましたが、消費には回らない。税金を払いたくない人は金庫やタンスに入れているんです。
浜 極端なことを言えば、お金を使わずに物々交換で暮らすようになるかもしれない。経済の「原始化」ですよ。
安倍政権はいったい何を目指しているのか。
佐藤 じつは目指しているものなんかない。とにかく「気合」や「空気」で動いている。「頭に来た! 暴れてやれ!」。いわば暴走族の予備軍。コンビニの前でウンコ座りしている連中のメンタリティですよ。
浜 それでも“暴走族”だからやっぱり暴走していくわけです。
佐藤 その暴走族に、偏差値の高い高学歴の連中が後ろにくっついて、いろんな知恵をつけているのです。
(週刊FLASH 2016年5月24日号)