12月15日、東京オリンピックの舞台となる新国立競技場の内部が公開された。すでに、さまざまな情報があふれているが、ここでは、絶対に誰もが利用するであろう、トイレについて見ることにする。
トイレはもちろん各階に設置されているが、今回は1階のトイレのみが撮影用に公開された。男性用トイレ、女性用トイレ、車いす用トイレ、男女共用トイレと4種類を見ることができた。
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まずは男性用トイレから。入口には「IN」「OUT」と書かれた2レーンがあり、ルートが決められていることがわかる。むやみな混雑を避け、回転率を上げるための工夫だろう。
そのまま入っていくと、殺風景だが意外にオシャレな空間が広がっていた。壁際には9台の小便器が取り付けられており、中央に、2台の手洗い場が設置されている。鏡付きの手洗い場は、隅っこに2台あるだけ。あまり見ないデザインだ。
広報担当者は、「同じトイレでも、女性用と男性用とでデザイン設計は大きく変えています。男性は、トイレで鏡をチェックしない方も多い。そのため、鏡なしの手洗い場も置くことにしました。時短になるので、回転率が上がります。
逆に、女性は鏡で身だしなみを確認したい方が多いでしょうから、女性用トイレの手洗い場にはすべて鏡を付けておきました」と語っていた。
言われるがまま、横にある女性トイレにも入ってみる。確かに、女性用トイレには7台の手洗い場が設置されており、すべて鏡付きだ。さらに女性用は、トイレの台数が13台と、男性用より多め。
「女性用のトイレには、詰め込めるだけの台数を詰め込みました(笑)。実は、この1階のトイレ横にある階段を下りると、さらに大きい女性用トイレがあります。1階が混雑していた場合、足腰がしっかりされている方は、すぐに下へ移動して用を足せる設計です」(広報)
男女共用トイレは、その名のとおり、男女誰でも利用可能。LGBTの人たちにも使いやすい。障害を持った人が、付添人と一緒に利用することもできる。
そんなトイレで、不思議なものを発見した。これは一体なんだろう、壁に書かれた「12345」の数字と棒線。
広報担当者に聞いてみた。
「それは、発達障害を持ったお子さんと親御さんのための仕掛けなんです。親御さんが用を足すとき、お子さんも一緒に連れてきますよね。
その間、壁の数字を数えてもらい、お子さんを集中させるんです。むやみに動き回ったり、逃げてしまうことを防げます。専門家の方々の意見を取り入れて作りました」
競技場全体では、男子小・大便器は1027基、女子大便器は933基、アクセシブルトイレ(主にLGBT、車いす、障害者用)が93カ所に設置されているという。多方面への配慮を試みたトイレ設計といえそうだ。