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池上彰「東京オリンピック後は、株価も地価も大暴落する!」
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2020.01.07 06:00 最終更新日:2020.01.07 06:00
それでも、池上氏が東京五輪に期待をしている。
「オリンピックは『平和の祭典』といわれますが、戦争やテロと無縁ではありません。ロシアとジョージアの戦争は、2008年の北京オリンピックの開会式の前日に始まりました。
1972年のミュンヘンオリンピックでは、パレスチナの過激派により、イスラエルの選手11名が殺害されるテロ事件が起きています。皮肉なことに、これをきっかけに、パレスチナ問題が世界で関心を持たれるようになりました。過激派にとってオリンピックは、絶好のアピールの場となったわけです。
今回もオリンピック期間中は、世界中からメディアが東京にやってきます。テロリストが『自分の主張をアピールできるチャンスだ』と考えても、けっして不思議ではない。あまり不安になる必要はありませんが、何か起こり得ると考えておいたほうがいいかもしれません。
いろいろ批判めいたことを言ってきましたが、私は『東京オリンピックに希望はある』と思っています。いい前例が、ラグビーのワールドカップでした。
日本のファンは死闘を繰り広げたスコットランドの選手を称えましたが、スコットランドにいた日本人も、『日本はよくやった』『おめでとう』と声をかけられたと聞いています。対戦する相手へのリスペクトは、素晴らしいと思います。
そしてなんといっても、やっぱり『ONE TEAM』でしょう。いろいろな国籍を持つ多様な人たちが、日本代表チームとして一丸となって戦ってくれました。このことは、ダイバーシティ(多様性)の強さを示したと思います。
パラリンピックも、観戦チケットに史上最多の申し込みがあるなど、大きな注目を集めています。『このまま、多様性を認め合える社会が根づいてほしい』と心から思います。
日本の最大の問題は少子高齢化です。15歳から64歳までの生産年齢人口がどんどん減っている。今後、人口が増える可能性は低いでしょう。
となると、移民を受け入れるかどうかという話になるのです。移民を受け入れたくないというのであれば、日本は緩やかに衰退していくしかないでしょう。
アメリカのGDPがいまも世界一である最大の理由は、移民がどんどん入ってきて、人口が増えているからです。それは、移民に厳格なトランプ政権下でも変わりません。
ドイツも、メルケル首相が2015年にシリアなどからの難民を100万人受け入れています。日本と同じように、少子高齢化が進んでいたドイツに、一気に100万人の労働者が入ってきたわけです。
日本も、もっと積極的に移民を受け入れる決断をすべきです。肌の色や言葉の違う人間同士がひとつになる。これこそ、まさにオリンピック精神ではありませんか。日本が、その理想の姿を世界に見せてほしいと強く思いますね」
いけがみあきら
1950年生まれ 長野県出身 慶應義塾大学卒業後、1973年にNHK入局。報道局記者などを経て、1994年から『週刊こどもニュース』編集長(お父さん)を11年務め、2005年に独立。各メディアで活躍するほか、東京工業大学リベラルアーツセンター特命教授を務める
(週刊FLASH 2020年1月7・14日号)