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配膳は遅く服は手洗い…「新型肺炎」感染クルーズ船の待遇格差
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2020.02.11 06:00 最終更新日:2020.03.09 12:43
「私たちの部屋は窓がないんです。狭い部屋に妻と2人きりで、閉じこもったままじゃ気が滅入ってしまいますよ」
そう嘆くのは、横浜港沖に停泊中の大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」に乗船している、60代のAさん。
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乗客乗員3711名のうち、130名(2月10日夜時点)が新型肺炎に感染した同船。下船できないだけでなく、船内で “長期隔離” されている乗客たちは、自室からも “外出禁止” となっているのだ。
感染が拡大した原因について、Aさんはこう推測する。
「乗船していた香港の男性が新型肺炎に感染していたことが、2月3日に公表されたのですが、翌2月4日も、船内は自由に出歩くことができたんです。
私たちは混雑するブッフェで夕食を食べたのですが、マスクをしている人はほとんどいませんでした。あの日、すぐに “外出禁止” にしていれば……」
同船は豪華客船だけに、富裕層のリピーター客が多いことで有名。さまざまなイベントが開かれる3層吹抜けのアトリウムがあるほか、屋外プールに劇場、カジノ、フィットネスジムなど、豪華な設備が整っている。
今回のクルーズツアーは、「初春の東南アジア大航海16日間」と銘打たれ、旅行代金は1人あたり25万円〜138万2000円。“長期隔離” という非常事態のなかでも、この値段の差が待遇の差となることに乗客が気づいたのは、2月5日のことだった――。
50代の乗客・Bさんが言う。
「2月5日の朝に『部屋から出ないように』と、船内放送が流れたんです。食事は、マスク姿のクルーが各部屋をまわって配膳することになったのですが、朝食が運ばれてきたのが昼近くで、空腹との闘いでした。
また、コインランドリーも室外にあるため、部屋の洗面所で衣服を手洗いするしかないんです。室内禁煙もつらいし、アルコールを頼んだら『ノーサービス』って言われるしで。こんな生活が、あとしばらく続くかと思うと……」
そんななか、Bさんは船内で囁かれる「噂」を耳にしたという。
「あるクルーからこっそり聞いたのですが、『お金持ちが泊まっている部屋は、おなかがすいたら直接シェフに連絡できる』とか、『具合が悪くなったら医者にすぐ診てもらえる』とか。また、食事も我々よりも豪華だ、なんて話もしてました」
本誌は、同船の上級ランクの部屋に宿泊している別の乗客に、“特別待遇” について話を聞いた。
「こんなときですが、泊まっている部屋のグレードで待遇に差が出るのは、当然だと思います。この船は英国船籍ですから、日本の感覚とはちょっと違うのかもしれませんね」
「地獄の沙汰もカネ次第」ということなのか――。
(週刊FLASH 2020年2月25日号)