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東京だけで1万5000カ所以上「がけ崩れ」の危険は増加の一途

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2020.02.22 11:00 最終更新日:2020.02.22 11:00

東京だけで1万5000カ所以上「がけ崩れ」の危険は増加の一途

 

 2月5日、神奈川県逗子市で、市道沿いの土砂が崩れ、通行中の女子高校生(18)が巻き込まれて死亡した。

 

 災害現場は、マンション下の市道に面した斜面。道路から高さ約10mの石積みがあり、その上部には鉄製のフェンスが設けられていた。今回起きた土砂崩れでは、フェンス部分の上の土砂が高さ7~8mにわたって崩れた。

 

 

 横浜地方気象台によると、現場付近では2月1日以降、降雨は観測されていなかった。

 

「今回の土砂崩れが起きたような急傾斜地を含む、土砂災害警戒区域は、東京だけでも1万5000カ所以上あり、全国では約57万4000カ所も存在しています。今回の逗子だけが特別ではありません」

 

 現場を取材した、災害危機管理アドバイザーの和田隆昌氏は警鐘を鳴らす。

 

「『高さ5m、斜度30度を超える斜面』には、どんな斜面でも崩落の可能性があり、国土交通省、各自治体によって土砂災害警戒区域に指定されています。

 

 指定されていない場所でも、対策が施されていない急斜面では、地震や降雨によって土砂災害が発生します。少しでも危険があるならば、きちんと斜面の状態を管理し、基本的な防護策(防護ネット、防護柵、擁壁など)を施すべきなのです」

 

 だが、防護策が施されず手つかずのままの箇所は無数にあるという。それには理由がある。東京都建設局河川部計画課の土砂災害対策担当者がこう話す。

 

「土砂災害の区域指定は、そこに安全対策を施すというよりも、そういう地形(傾斜度30度以上、高さ5m以上)があることを知っていただいて、気象情報をつかんだ段階で、いち早く逃げていただくためのものです。

 

 土砂災害防止法に基づいて、危険な箇所を特定して優先順位をつけ、自治体に対策を義務づける、というものではありません。あくまで斜面の所有者が、対策を考えていくのが基本。防護ネットなどの対策は、一義的には、所有者がやるものです」

 

 だが、危険箇所の管理責任が土地の所有者にあることで、崩落対策は進まない。山間部や斜面の安易な住宅地開発もあり、和田氏によると「土砂災害は増える傾向にある」という。

 

「防護ネット、防護柵が設置されていても自然の斜面が露出している箇所は、過去に土砂崩れが発生していた可能性が高く、非常に危険です。

 

 斜面からの水の流出、小石の散乱、土の匂いがする、樹木が斜めに生えている、根が表出しているなどの現象がある斜面には、降雨時には近づかないことが大切です。防護ネットや防護柵があっても100%安全ではありませんから」(和田氏)

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