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小泉訪朝もバレバレ…日本の暗号がすべてCIAに読まれてた
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2020.03.08 06:00 最終更新日:2020.03.08 06:00
《世紀のインテリジェンスクーデター》
2月11日、アメリカの名門紙、ワシントン・ポスト(WP)に、こんな見出しが躍った。
アメリカ中央情報局(CIA)が、暗号化装置を販売してきたスイスの「クリプトAG社」を、1970年代から1980年まで秘密裏に所有し、世界120カ国の外交公電などを解読。大量の機密情報を収集していたと、WPがスクープしたのだ。
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「クリプト社は、1950年代から各国政府に暗号機を販売していた。だが、1970年代からは、ドイツの連邦情報局(BND)・アメリカ国家安全保障局(NSA)が同社の運営に内密に加わり、各国の通信内容を解読していた。
1979年の『在テヘラン米大使館人質事件』でのイラン革命政府や、1982年の『フォークランド紛争』でのアルゼンチン軍の動向など、各国の機密情報をすべて把握し、利用していた」(国際部記者)
同社は2018年、2社に分割され、現在は情報機関の手から離れているというが、同社製の暗号機は、全世界の外交公電や通信のうち、約4割で使われていた時期もあった。防衛省情報本部で情報分析官を務めていた西村金一氏は、こう解説する。
「まず、衛星や海底ケーブルに装置をつけるなどして、通信を傍受。外交公電などは、暗号機を使って、元の文章を文字や数字などの羅列に変換されます。
防衛省では使われていませんでしたが、クリプト社の暗号機は有名。どんな複雑な暗号でも、同社を運営するCIAなら、簡単に解読できるというわけです」
じつは、クリプト社の製品を、外務省も導入していたという。国際ジャーナリストの春名幹男氏はこう話す。
「小泉純一郎元首相が訪朝した2002年、北朝鮮側との事前交渉は、極秘に進められていました。しかし、私が取材したアメリカ国務省関係者は、『訪朝は事前に知ってたよ』と、全部筒抜けだったのです」
春名氏は、こう続ける。
「アメリカが展開する通信傍受システムの中枢を担うのは、戦後一貫して、『ファイブアイズ』といわれる5カ国です。アメリカと、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド。これに、イスラエル、スウェーデン、スイスが加わる。
今回、WPのスクープで発覚したのは、日本と同じ敗戦国のドイツが暗号解読に関わって、情報を共有していたこと。日本はアメリカの同盟国なのに、完全に蚊帳の外。『こんな扱いでいいのか』と思わざるを得ません」
アメリカは、いまだに日本を “同盟国” と思っちゃいないようである。
(週刊FLASH 2020年3月17日号)