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成田空港で感染の恐怖「コロナ検査はずさんすぎる」と帰国者
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2020.04.17 06:00 最終更新日:2020.04.21 22:02
「成田空港での検査で、本当に恐怖を感じました」
本誌にそう明かすのは、都内在住の自営業男性・Aさん(43)だ。
Aさんは仕事で約1カ月間シンガポールに滞在し、4月4日午後、成田空港に着いた。到着後、1時間ほど順番待ちをしたあとに、新型コロナウイルスのPCR検査を受けたという。
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「部屋の中が仕切られて、3つの検査スペースが作られていました。防護服を着た検疫官が、右の鼻の奥に綿棒を突っ込んで粘膜を採取し、試験管に入れて検査は終了。わずか1~2分ほどでした」
検査結果が出るまでの数日間、空港近くのビジネスホテルの個室で待機するよう言われたAさんは、このあと底知れぬ恐怖を味わうことになる。
「送迎バスを待つあいだ、ソファが20脚ほどある部屋で待機するように言われました。最初はすいていたのですが、いろんな国から帰国した人たちが、どんどん検査を終えて入ってきて満員になって。でも係員は『ここで待っていてください』の一点張りでした」
他人の息がかかって、換気も悪かったという。
「あとから部屋に入ってきた人に、『どちらから?』と聞くと『アメリカです』と言われて、思わず離れましたよ。結局、大勢が狭い空間で2時間も待たされました。
バス乗り場まで移動するエレベーターも、ぎゅうぎゅう詰め。バスの乗車時間は10分くらいでしたが、車内には30人ぐらいが乗っていました。『このなかに感染者がいたら……』と気が気じゃなかったですよ」
ホテル到着後は、部屋から出ることを禁じられた。
「翌々日の朝、『Aさんは陰性でした』と電話があり、成田までバスで送ってもらって、親戚の車で帰宅しました。『帰宅の際は、公共交通機関を使わないように』と言われましたが、遠方の人は無理ですよね」
陰性と判定されても、2週間は自主待機するよう要請されているため、Aさんも4月20日まで自宅待機するという。
「『毎日検温して、発熱した場合は各自で病院に行ってください』と。『勝手にして』というような扱いです」
最後にAさんは、こう憤る。
「空港検疫の管理体制がずさんすぎます。PCR検査を受けた後に、その結果も出ていない、感染しているかもしれない人たちと、狭い部屋やエレベーター、バスにぎゅうぎゅう詰めにされて、それで『陰性でした』と言われても、安心できないじゃないですか。
感染しないよう細心の注意を払ってきたのに、全部ぶち壊された気分です。『なんで爆発的に感染が拡大しているアメリカから帰国した人と一緒に狭い空間にいなきゃいけないんだ』と、怒りすら覚えました。もう一度、PCR検査を受けたいと思っています」
厚生労働省の検疫所業務管理室に問い合わせると、「4月4日着の便の成田空港検疫で、陽性の方が出たかどうかは精査中」と回答。検疫の管理体制については、締切りまでに回答はなかった。
本当に感染拡大を阻止するつもりはあるのか――。
(週刊FLASH 2020年4月28日号)