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アメリカの観光地でネズミ大移動…コロナが動物に与える影響は
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2020.04.16 15:55 最終更新日:2022.12.07 15:33
世界中で人間が行動制限しているなか、動物たちが活動範囲を広げている。
インターネットには街なかで目撃された動物たちの珍しい映像が投稿され、まるで動物園のようになってきた。
イギリスの住宅地ではヤギが手当たり次第に草を食み、スペインやイスラエルからはイノシシの群れ、奈良からは観光客が減って商店へ顔を出す鹿の映像が出回った。タイの街中はエサを求める猿の群れが車の通行を遮っている。インドからは孔雀やエミュー、レパード、ニルガイなど、珍しい動物の映像が出てきている。
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微笑ましい映像も多い。
シンガポールの道端でカワウソ達がじゃれあい、ミラノの運河で白鳥とヌートリアが一緒に泳いでいる。テルアビブの空港をグース(ガン)の家族が闊歩し、コロラドのフットボール場にエルク(ヘラジカ)が集まる。イギリスでは羊が子供の遊具を回して遊び、フランスでは鳩が車のサイドミラーに巣を作った。
こうした映像にはデマもある。プーチン大統領が人々を家の中に退避させるために放ったというライオンや、中国雲南省で酔っ払って寝ているとされたゾウ、ベネチアの運河に泳ぐイルカの映像などは実際のものではないという。
休園中の動物園や水族館からも、愛らしい動物たちの映像が届いているが、収入源が閉ざされた動物園の経営は逼迫している。ドイツの動物園では、この春の収入がおよそ2000万円強も減って、エサ代がなく、このままでは動物を安楽死させるか他の動物のエサにするしかないという。実際に候補となる動物のリストが作られており、ヤギやシカが、山猫やワシ、北極熊のエサになる可能性がある。
私たちの身近な場所でも動物の大移動が起こっている。
アメリカ・ニューオーリンズ最大の観光名所バーボンストリートでは、人のいない夜の商店街に、たくさんのネズミたちが繰り出した。レストランの営業が制限され、食べ物の廃棄が減ったことで、ネズミの大移動が始まり、住宅街などにも出現し始めているという。
ネズミの種類によっては危機的状況になると行動が獰猛になり、縄張りをめぐって殺し合いをしたり、共食いしたりする。そこで、ニューオリンズやワシントンDCでは、外出自粛の最中、大規模なネズミ退治が始まった。ある動物保護団体は、外にいる猫に餌付けしてネズミを追い払ってもらう「ブルーカラーキャットプログラム」を実施している。
ネズミは敏感な嗅覚を使って、食べ物の匂いを嗅ぎ当てる。集団で動くため、1匹見かけたら、他にも仲間がいるだろう。タイ市街などでも、あちこちでネズミの目撃証言が増えている。レストランが大幅に営業自粛している日本も、例外ではないはずだ。
ネズミだけではない。インドやトルコでは野良猫や野良犬が大幅に増加しているという。外出自粛によって、想定外のリスクが、これから多発するかもしれない。