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プロ野球、コロナで「無観客開幕」めぐり巨人・阪神が孤立

スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2020.04.28 06:00 最終更新日:2020.04.28 06:00

プロ野球、コロナで「無観客開幕」めぐり巨人・阪神が孤立

3月31日、自主練習をおこなう巨人の菅野智之。緊急事態宣言後も巨人は、選手たちが調整を続けている

 

 4月23日、プロ野球の12球団代表者会議で「開幕から当面は無観客試合で開催」という方針が打ち出された。

 

「コミッショナーは、『どこからも反対はない』と一体感を強調しましたが、僕たちは、そう簡単に開幕は迎えられないだろうと考えています……」(NPB関係者)

 

 

 じつは今この裏で、真っ二つに “分断” された、球界オーナーたちの熱い攻防が、繰り広げられているというーー。まず、「楽天は、開幕に前向きではありません」と話すのは、楽天担当記者だ。

 

「3月31日に、パ・リーグ社長会が開かれました。パ6球団の社長がオンラインで集い、新型コロナウイルスの感染拡大で『当初予定していた4月24日開幕は困難』と、開幕再延期について、あらためて議論が交わされました」(楽天担当記者)

 

 そのなかで、楽天・三木谷浩史オーナー(55)の意を受けた立花陽三球団社長(49)から、シビアな提案があった。

 

「立花社長が、ほかの5球団の社長に、『そもそも開幕していいのか?』と呼びかけたそうです。『強行して、感染者が出たらどうするのか。今年は全試合を中止したほうがいい』というのが、三木谷オーナーの本心なんですよ」(同前)

 

 それに賛同したのが、ソフトバンク・後藤芳光球団社長(57)だった。孫正義オーナー(62)も同様に、「中止もやむなし」が本音だというのだ。

 

「楽天・ソフトバンク以外の4球団は、最初は “中止提案” に懐疑的だった。ですがパ・リーグは、6球団が全国に散在していて、移動距離が長いぶん、感染リスクも高い。

 

 さらに、現在、球団施設での選手の自主練習を禁止し、楽天と同様に活動休止状態にあるロッテは、親会社が食品会社。日本ハムもそうですが、選手に感染者が出れば、親会社のイメージにも影響が出かねない。

 

 結局は、楽天・ソフトバンクの主張を受けて、パ全体として『全試合中止も検討すべき』という考えになったようです」(ロッテ担当記者)

 

 ソフトバンク球団にコメントを求めると、こう話した。

 

「私たちの提案は『開幕の無期延期』であり、『全試合中止』とは主張していません。練習機会のない球団もある状況で、『(早期の開幕は)公平感に乏しく、お客様をお迎えする準備も不十分』と考えて提案しました」

 

 楽天からは回答がなかったが、前出の社長会で生々しい話し合いがあったのは間違いないようだ。

 

「パの社長会の2日後、4月2日におこなわれたのがセ・リーグの代表者会議。その会議を主導したのは、DeNA・三原一晃球団代表(52)だった。そして、DeNAも楽天などと同様の『全試合中止』の考えを述べたようです。

 

 だが、『試合数を縮小してでも絶対に開幕したい』という巨人阪神が抵抗し、パ6球団のような一枚岩にはならなかった」(スポーツ紙デスク)

 

 こうして、セ・パ両リーグで「全試合中止」論がくすぶるなか、冒頭のとおり、NPBから「開幕するなら無観客試合」との暫定方針が示されたというわけだ。

 

「表向き、各球団から、『開幕するなら無観客試合』ということに反対の声は上がっていませんが、では “本当に開幕できるのか” という件については、まったく足並みが揃っていません。

 

 巨人・阪神は、6月中旬にはなんとか無観客試合で開幕にこぎつけようと、水面下で “暗躍” していますが、パ6球団は冷ややかです。広島・中日・ヤクルトも、『強行してまで開幕を』とは思っていません。

 

 無観客で開幕しても収益を見込めるのは、巨人・阪神くらい。ほかの球団は、入場料収入・物販・広告などが収入の多くを占めていて、放映権料だけでは、経営が成り立たないからです。

 

 MLBでのように、開幕自体にファンや世間から批判が出る可能性もあります。開幕を強行するのは、リスクが大きすぎるんですよ」(前出・NPB関係者)

 

 NPBは、5月6日以降に、再度開幕についての議論をおこなう。「ベンチ封鎖、マスク着用での試合開催もあり得る」(同前)というが、プロ野球も甲子園もない夏が、来るかもしれない。

 


写真・産経新聞

 

(週刊FLASH 2020年5月12・19日号)

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